伊藤豪

伊藤豪：演劇人としての多様な顔

伊藤豪氏は、俳優、司会者、ナレーターとして日本の芸能界で長年にわたり活躍している人物です。1938年3月4日生まれ。東京電機大学高等学校、早稲田大学文学部演劇専修と進学し、演劇の道を志しました。

伊藤氏の経歴は、演劇への情熱と探究心、そして多様な才能を垣間見せるものです。高校時代は理系にいましたが、学園祭での演劇への参加がきっかけで、文系への転身を決意。早稲田大学で演劇を学び、劇団民藝の俳優教室を経て、数々の舞台作品に出演しました。劇団民藝での経験は、伊藤氏の俳優としての基礎を築き、表現力や演技力を磨く上で貴重な時間となりました。

1973年に劇団民藝を退団した後も、伊藤氏の活動は衰えることはありませんでした。東京俳優生活協同組合に所属し、有吉佐和子訳『ケイトンズヴィル事件の九人』など話題作への出演を果たしました。宇野重吉、滝沢修、芦田伸介、中村吉右衛門(2代目)、緒形拳、杉村春子といった錚々たるメンバーとの共演は、伊藤氏にとって大きな刺激となったことでしょう。

その後、演劇集団友、劇団鬼の演などを経て、2001年には三園ゆう子、吉野晴雄らと共に劇団アドックを設立。六本木、そして赤坂に移転し、現在も活動を続けています。麻布演劇市にも所属し、脚本、演出、出演と、演劇活動の幅を広げ、多岐にわたる才能を発揮しています。

伊藤氏の活動は舞台だけにとどまりません。NHKや民放のドラマ、ショー番組への出演、日本文化センターテレフォンショッピングのキャスターとしての活動など、テレビでも活躍しました。3000組を超える婚礼司会を務めた経験も持ち、司会者としてのスキルも高く評価されています。さらに、港区のふれあい会館で朗読や語りの「表現講座」を実施するなど、地域社会への貢献にも積極的です。

近年では、港区老人クラブ連合会、港区シルバー人材センターに所属し、港区内での文化芸術振興にも尽力しています。「みなと演劇会議」の結成や「国際演劇祭inみなと」2025年開催に向けた委員会結成の準備にも携わっており、地域文化の発展に大きな役割を果たそうとしています。

劇団アドックでの活動は、伊藤氏の演劇人としての集大成ともいえるでしょう。三浦綾子の作品を多く手がけ、演出・出演を通して、作品に深みと奥行きを与えています。その他、芥川龍之介、シェークスピア、チェーホフなど、幅広い作家の作品にも挑戦し、その表現力は高く評価されています。

伊藤豪氏は、長年にわたる活動の中で、俳優、司会者、ナレーター、演出家、脚本家と、様々な顔を見せてきました。その活動の幅広さは、彼の人間性と、演劇への揺るぎない情熱の表れと言えるでしょう。今後も、伊藤氏の活躍から目が離せません。

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