伊藤貞司

伊藤貞司（テイジ・イトウ）

伊藤貞司（Teiji Ito, 1935年1月22日 - 1982年8月16日）は、日本の作曲家、演奏家として知られています。特に、前衛映画の旗手であったマヤ・デレンの作品に音楽を提供したことで、その名を知られるようになりました。

生涯

東京で芸能一家に生まれた伊藤貞司は、幼少期から芸術に囲まれた環境で育ちました。母はダンサーのテイコ・オノ、父はデザイナー兼作曲家の伊藤裕司という芸術家夫婦の間に生まれました。6歳の時に家族でアメリカへ移住し、ニューヨークで育ちます。アメリカ自然史博物館での母親のダンスパフォーマンスに同行し、自身も日本と韓国の舞踊を披露していました。15歳で家出をしたというエピソードも残っています。

17歳から作曲を始めた伊藤は、1955年にマヤ・デレンと出会い、その後の人生を大きく変えることになります。デレンと共にハイチへ渡り、現地のドラムマスターに師事し、ドラマーとしての腕を磨きました。また、デレンの依頼により、彼女の代表作である実験映画『午後の網目』のスコアを作曲し、映画音楽家としての才能を開花させました。1960年にはデレンと結婚しましたが、彼女は1961年に急逝しました。

デレンとの死別後も、伊藤は作曲家として精力的に活動を続けました。1960年から1961年のオフ・ブロードウェイ・シーズンには、ブレヒトの『In the Jungle of Cities』、『ユビュ王』、『Three Modern Japanese Plays』などの作品でオビー賞を受賞し、高い評価を得ました。1963年には、ミュージカル版『カッコーの巣の上で』の音楽を手がけています。1971年には、ニューヨーク・シティ・バレエ団のためにバレエ作品『Watermill』を作曲しました。また、1972年には日本庭園に関する著書『The Japanese Garden : An Approach to Nature』を出版し、日本文化への深い造詣を示しました。さらに、ジーン・アードマンの「開眼の劇場」のために作曲と演奏も行いました。

晩年は、4番目の妻シェレルと共に、ハイチで撮影された1947年から1951年までのデレンの映像を編集し、ドキュメンタリー映画『聖なる騎士たち：ハイチの生きた神々』を完成させました。

1982年、ハイチ滞在中に心臓発作で急逝しました。日系アメリカ人俳優のジェリー伊藤は、伊藤貞司の従兄弟にあたります。

ディスコグラフィ

アルバム

Meshes: Music For Films and Theater (1997年、O.O. Discs)
King Ubu (1998年、ツァディク)
Music For Maya: Early Film Music Of Teiji Ito (2007年、ツァディク)
Tenno (2007年、ツァディク)
The Shamanic Principles (2008年、ツァディク)
Watermill (2008年、ツァディク)

参加アルバム

ニューヨーク・ジャズ・カルテット: New York Jazz Quartet Goes Native (1957年)
ハービー・マン: Gone Native (1961年)
ジーン・アードマン: The Coach With The Six Insides (Original Cast Album) (1966年) ※舞台『六人を乗せた馬車』サントラ
須磨の嵐: 『須磨の嵐』 - Suma No Arashi (1970年)
黛敏郎&須磨の嵐: 『序破急』 - Johakyu (1970年)
ミッキーカーチス&サムライ: 『河童』 - Kappa (1971年)
赤い鳥: 『WHAT A BEAUTIFUL WORLD』 - What A Beautiful World (1971年)
Yusen Kuzuhara、Teiji Itoh: Le Koto De Yusen Kuzuhara Et Le Shakuhachi De Teiji Itoh (1978年)
ガイ・クルセヴェク、フィリップ・ジョンストン: Tales From The Cryptic (2003年)

外部リンク

Teiji Ito - IMDb（英語）
図書館にある伊藤貞司に関係する蔵書一覧（英語） - WorldCatカタログ
Teiji Ito Tzadik discs
Collection of noncommercial recordings from The New York Public Library for the Performing Arts
伊藤貞司 - Discogs（英語）

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