伊賀街道

伊賀街道：伊勢と伊賀を繋いだ歴史の道

伊賀街道は、三重県津市と伊賀市上野を結ぶ街道です。江戸時代、津藩主・藤堂高虎の時代、津（本城）と上野（支城）を繋ぐ官道として整備されました。単なる軍事拠点間の連絡路というだけでなく、伊勢と伊賀両国の経済・文化交流において重要な役割を果たした、歴史的な街道と言えるでしょう。

街道の役割：経済と文化の交流路

伊賀街道は、伊勢神宮への参宮客にとって重要なルートでした。上野を経由し、伊勢へと向かう多くの参拝者たちがこの道を歩きました。同時に、街道は物資輸送の動脈でもありました。津方面からは水産物や塩が、伊賀方面からは種油や綿などの産物が運ばれ、活気溢れる交易が繰り広げられていました。伊賀と伊勢両国の経済を支え、人々の生活に深く関わっていたと言えるでしょう。

ルートと地理：険しい山道と宿場町

伊賀街道の全長は約50km。現在の国道163号にほぼ沿って走っており、橡（とち）ノ木峠とも呼ばれる長野峠を越える険しい山道です。全長約12里にも及ぶこの道のりは、決して容易ではありませんでした。道中には宿場町が点在し、旅人や商人たちの休息の場として賑わっていました。これらの宿場町は、街道の維持管理に重要な役割を果たすとともに、地域経済の中心地としての役割も担っていました。現在でも、国道沿いにその面影を垣間見ることができます。

現在の伊賀街道：国道と県道

現代においても、伊賀街道の名を冠する道路が存在します。主なものは以下の通りです。

国道163号（伊賀市～松阪市区間）：伊賀街道の主要部分をなす国道です。
三重県道2号伊賀青山線（伊賀市平田～伊賀市広瀬区間）：伊賀市内の街道の一部を担う県道です。
* 三重県道745号片野飯高線（終点：松阪市飯高町宮前）：松阪市方面への街道の一部を担う県道です。

これらの道路は、現代の交通網を形成しながらも、かつての伊賀街道の歴史と記憶を繋いでいます。

関連事項

伊賀街道の歴史や文化を理解するためには、関連する事項を学ぶことも重要です。例えば、長野峠は街道における重要な通過点であり、その険しさは旅人たちに大きな試練を与えました。また、伊勢参宮街道や奈良街道とも重複する部分があり、歴史的な背景を共有しています。多気町や相可地域は、伊賀街道に関連した歴史的史跡や文化遺産を多く残しています。

伊賀街道を歩く：歴史ロマンの旅

伊賀街道は、単なる交通路ではありません。それは、歴史と文化、そして人々の生活が刻まれた道です。現在でも、当時の面影を残す場所を訪れ、歴史ロマンに浸る旅を楽しむことができます。かつての宿場町の雰囲気を感じながら、ゆっくりと歩くことで、伊賀と伊勢の歴史と文化に触れることができるでしょう。 険しい長野峠を越える旅は、現代においても大きな感動を与えてくれるはずです。

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