相可

相可（おうか）とは

三重県多気郡多気町に位置する相可は、多気町の行政と経済の中心地として重要な役割を担っています。町のほぼ中央に位置し、櫛田川中流域の肥沃な平野部に広がっています。この地域は、古くから人々の生活が営まれ、歴史と文化が息づく場所です。

地理

相可は、多気町のやや北寄りに位置し、櫛田川が流れる平坦な土地にあります。北は松阪市射和町、東は多気町荒蒔・相可台、南は多気町五佐奈・西山・仁田・平谷、西は多気町四疋田と隣接しています。この地理的条件から、古くは街道の要衝として、また現在は工業団地や住宅地が広がる地域として発展しています。

地域

相可は、相可一区（上相可）と相可二区（下相可）に分かれており、それぞれ異なる特徴を持っています。旧国道42号線（現県道160号）を境に、東側が二区、西側が一区です。

相可一区（上相可）：地区のほぼ全域が平野で、県道421号線沿いに宿場町の景観が残っています。
相可二区（下相可）：地区の北半分は平野で、中央には相可駅があり、南部には多気町役場が位置しています。南東部には相可台ニュータウンが造成されています。

産業

相可は、商業や公務に加え、工業も盛んな地域です。特に、地区東部に位置するシャープ三重工場（多気工場）は、多気町の主要な歳入源であり、周辺には多気工業団地が形成されています。シャープ進出以前は、農業や商業が中心産業でした。

歴史

近世まで

相可は、縄文時代から人々の生活が営まれてきた場所であり、平安時代の『和名抄』には、多気郡七郷の一つとして相可郷が登場します。当時の古書には「阿布加（あふか）」と記されています。相可郷には、伊勢神宮の御厨や東寺などの荘園が点在し、条里制の土地割が今も残っています。
江戸時代には、熊野街道、伊勢本街道、伊勢南街道が交わる交通の要所として宿場や商家が栄え、大和屋や大黒屋といった江戸に支店を持つ豪商も現れました。また、櫛田川の河岸としても発展し、物資の集積地として賑わいました。

近代以降

明治時代になると、相可は多気郡の中心となり、郡役所や警察署、税務署、実業学校など多くの公共機関が設置されました。1889年の町村制施行により、周辺の村と合併して相可村となり、1919年には相可町に昇格しました。相可は、水運やバス交通の中心地として発展しましたが、第二次世界大戦後は、松阪市への交通の便が良くなったことで、多気郡の中心としての性格は弱まりました。しかし、現在でも多気町の政治、経済、文化の中心であり続けています。

相可市

1955年頃まで、毎年1月27日に旧伊勢本街道で定期市が開かれていました。この「相可市」は、多気町と松阪市の業者が露店を出し、大変賑わったそうです。

沿革

1889年（明治22年）4月1日：町村制施行に伴い、相可村が成立。相可村大字相可となる。
1919年（大正8年）6月20日：相可村が町制を施行し、相可町大字相可となる。
1955年（昭和30年）3月31日：相可町が佐奈村・津田村と合併し、多気町が成立。多気町大字相可となる。
2006年（平成18年）1月1日：多気町が勢和村と合併し、新・多気町が成立。大字表記が廃止され、多気町相可となる。

地名の由来

相可の地名は、「会う所」という意味で、伊勢本街道と和歌山街道が交差する場所であったことに由来するとされています。また、相可を支配した「大鹿氏」に由来するという説もあります。

世帯数と人口

相可の人口は、1889年以降減少傾向にあり、2015年の国勢調査では、約2700人となっています。

学区

相可地区の小中学校は、以下の通りです。

小学校：多気町立相可小学校
中学校：多気町松阪市学校組合立多気中学校

交通

相可の交通は、以下のようになっています。

鉄道：JR紀勢本線相可駅があります。ただし、特急は停車せず、多気町のターミナル駅は多気駅です。
道路：国道42号線（松阪多気バイパス）、三重県道160号線（旧国道42号線）、三重県道421号線が通っています。
路線バス：三重交通と多気町町営バスが運行しています。

施設

相可には、以下の公共施設や商業施設があります。

多気町役場
三重県立相可高等学校
三重県企業庁南勢水道事務所（多気浄水場）
多気町松阪市学校組合立多気中学校
多気町立相可保育所
JR相可駅
多気町立ふるさと交流館たき
多気町立多気図書館
多気町民文化会館
シャープ三重工場
多気郵便局
百五銀行多気支店
桑名三重信用金庫相可支店
コメリハード&グリーン多気店
グッディ食鮮館多気店

観光

相可には、以下の観光スポットがあります。

のびのびパーク天啓：黄檗宗の古刹・法泉寺と涵養池を中心とした公園です。散策路や芝生広場があり、地域住民の憩いの場となっています。
多気クリスタルタウン：複合型ショッピングセンターです。
ホテルエコノ多気：多気町唯一のビジネスホテルです。

祭事・催事

多気町おいないまつり：11月上旬に開催される、特産品販売やイベントなどが行われる祭りです。

名物

まつかさ餅：長新が製造する和菓子で、松かさの形をした黒糖餡入りの餅です。いがもちの一種です。

その他

郵便番号：519-2181

まとめ

相可は、歴史と文化が息づく地域でありながら、工業団地や商業施設も有する多機能な地域です。多気町の中心として、今後も発展していくことが期待されます。

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