伊達宗紀

伊達宗紀：宇和島藩を立て直した長寿の大名

伊達宗紀（だて むねただ）は、江戸時代中期から後期にかけて生きた武士であり、伊予国宇和島藩の第7代藩主です。通称は主馬（しゅめ）、春山（しゅんざん）と号し、従四位下・遠江守、左近衛権少将に任じられました。特に、98歳という当時としては稀な長寿を全うした大名として知られています。

生涯と藩政改革

寛政4年（1792年）に6代藩主・伊達村寿の長男として生まれた宗紀は、文政7年（1824年）に家督を継ぎました。当時の宇和島藩は財政難に苦しんでおり、その改革が急務でした。宗紀は、以下の政策を実行し、藩財政の立て直しを図ります。

借金の整理: 大坂商人からの借金を無利息200年賦で返済することにし、一部の借金は交渉により放棄させました。
特産品の保護と専売化: ハゼ蝋の専売化を行い、塩やスルメなどの特産品を保護しました。
質素倹約の奨励: 藩士に質素倹約を奨励し、無駄な支出を減らすように努めました。
検地の実施: 検地を行い、税収の安定化を図りました。
人材育成: 藩士の小池九蔵、若松総兵衛を佐藤信淵に入門させ、農業技術の改良を学びました。
融通会所の設立: 物価統制のため、融通会所を設立しました。

これらの改革により、宗紀は藩財政を立て直し、隠居するまでに6万両もの資金を蓄えることに成功しました。

後継者問題と隠居後の生活

宗紀は長年男子に恵まれず、幕府から養子縁組を勧められることもありましたが、最終的には5代藩主・村候の男系曾孫である伊達宗城を養子に迎えました。天保15年（1844年）に宗城に家督を譲り、江戸の藩邸に隠居しました。

隠居後は、嘉永6年（1853年）のペリー来航の際に幕府に開国を献策するなど、政治に関与することもありました。文久2年（1862年）には宇和島に隠居所である潜淵館を建築し、その邸内に回遊式庭園「天赦園」を築きました。天赦園は、宗紀の祖先である伊達政宗の漢詩にちなんで名付けられたもので、現在では国の名勝に指定されています。

明治22年（1889年）11月25日、宗紀は98歳という長寿を全うし、その生涯を閉じました。

長寿の秘訣

宗紀の長寿の秘訣については、様々な逸話が残っています。若い頃は酒豪であったものの、晩年は酒量を控え、毎朝晩の散歩や書道などを日課としていました。また、「女色を慎むことにある」と語ったという逸話も残っています。

評価と関連情報

伊達宗紀は、藩財政の立て直しや天赦園の築庭など、宇和島藩に大きな功績を残しました。その長寿も相まって、現在でも宇和島では尊敬を集める人物です。

関連書籍: 『伊達宗紀公傳』（兵頭賢一）、絵本『伊達宗紀公物語〜天が赦した長寿大名〜』（宇和島信用金庫 企画制作、2016年）
関連項目: 島津重豪、林忠崇、松浦清、浅野長勲など、長寿を保った大名
* 外部リンク: 公益財団法人宇和島伊達文化保存会、天赦園BLOG、宇和島市立伊達博物館

もう一度検索