伏見 (砲艦)

伏見 (砲艦)

伏見（ふしみ）は、日本海軍に属する砲艦で、その艦名は旧山城国紀伊郡の名勝地、現在の京都市伏見区に由来しています。伏見は、清国長江流域での日本の権益を守る必要性を背景に建造されました。また、隅田と共に、日本海軍初の本格的な河用砲艦として位置づけられています。

建造の背景と計画

伏見の建造は、日本海軍の第二期拡張計画の一環として開始されました。計画の変更により、最初は浅喫水砲艦としての新艦建造が検討されましたが、揚子江下流域では運用が可能ですが、上流域での運用には、より浅い吃水を有する砲艦が求められました。このことから、1902年9月30日に改めて浅喫水砲艦建造の上申が行われました。

建造費は、呉海軍造船廠で建造中の一等水雷艇の予算の余剰金から捻出される予定でした。1903年3月、イギリスのヤーロウ社およびソーニクロフト社との間で、それぞれ砲艦一隻ずつの製造契約が結ばれました。結果としてヤーロウ社で建造された艦が伏見となり、ソーニクロフト社の艦は隅田となりました。設計においては、イギリス海軍の「ティール」号が参考にされており、煙突は二本備わっていました。

兵装と艦歴

伏見の兵装は、時代と共に変化し、1920年4月の段階では1号6cm砲2門、陸式機砲1挺、麻式6.5mm砲4挺を装備していました。その後、1931年の時点では、1号6cm砲2門、留式機銃2挺、三年式機銃4挺に置き換わりました。

建造自体は、イギリスのヤーロウ社で1903年3月22日に起工されましたが、日露戦争のために組み立てが見合わせられ、材料は佐世保海軍工廠に保管されていました。戦争が終結すると、海軍は川崎造船所と大阪鉄工所に組立請負の見積もりを依頼し、1905年12月5日に川崎造船所との契約が成立しました。

組立作業は、上海に派遣された川崎造船所の人員と機材によって行われ、1906年3月22日に組立が開始されました。8月8日には「伏見」の名が付けられ、同日進水し、その後同年10月1日に竣工を果たします。

その後の活動

伏見は、竣工後の1911年4月、日本軍艦としては初めて長江三峡を超えて重慶まで進出した歴史的な存在です。1914年までに大修理を行い、第一次世界大戦では中国が中立であったことから一時抑留されましたが、中国が連合国側に加わると、艦は復帰しました。

昭和期に入り、1931年には砲艦に類別され、その後の第一次上海事変においては、上海や長江整備の任務に従事しましたが、1935年に除籍され、その後、上海で売却・解体されました。

歴代艦長

伏見には、さまざまな艦長が就任しました。初代艦長である替地初太郎大尉は1906年から就任し、以降、数名の艦長がその職を引き継いでいきました。特に、1940年代に至るまで数名の艦長が就任したことが記録されています。

結論

伏見は日本海軍の中でも特に重要な存在であり、河川戦力の強化を目的とした砲艦として、長江での活動を通じて日本の権益を守る役割を果たしました。その艦歴は海軍の歴史において重要なページを飾っています。

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