伏見諭

伏見諭（ふしみ さとし）

1946年、兵庫県に生まれた伏見諭氏は、経営者、技術者として多岐にわたる分野で活躍しています。東京大学理学部と経済学部を卒業後、東京大学大学院理学系研究科を修了し、理学修士の学位を取得しました。

人物

伏見氏の父は物理学者で名古屋大学・大阪大学名誉教授の伏見康治氏、兄は埼玉大学名誉教授の伏見譲氏という学術一家に育ちました。父・康治氏と母・満江氏の著作『折り紙の幾何学』には、姉と譲氏、諭氏兄弟が登場し、化学者の槌田龍太郎氏の子息である槌田敦氏、劭氏兄弟の話も紹介されています。

専門分野では、株式会社情報数理研究所の取締役、株式会社情報数理バイオ技術顧問として手腕を発揮する傍ら、ISO/IEC 15504|ISO_IEC 15504 part1 editorを務めるなど、国際標準化活動に大きく貢献しました。情報処理学会情報規格調査会SC7/WG24主査、JISA技術委員会標準化委員会委員長などを歴任し、国際規格や日本産業規格の制定に尽力しました。さらに、IPA SEC連携委員、JAXA/IPAクリティカルソフトウェアワークショッププログラム委員セキュアプログラミングWGリーダーなど、ソフトウェア開発や情報セキュリティに関する重要な役割を担ってきました。

これらの功績が認められ、2015年10月5日には平成27年度国際標準化貢献者表彰（産業技術環境局長表彰）を受賞しています。

著作

伏見氏は、数多くの著作や論文を発表しており、その知見は多岐にわたります。

主な著作には以下のようなものがあります。

『「第3の科学」―コンピュータ・シミュレーションが拓く産業の明日』（2009年）
『C言語によるエキスパートシステム―シェルの実例と知識表現』（1988年）
『パソコンで学ぶエラー対策テクニック―新しいマン・マシン・インタフェースを考える』（1986年）
『VSE標準 導入の手引き 改訂版 スマートで信頼のおける小規模ソフトウェア開発の手引き ―VSE標準の活用』（2019年、共著）

論文・雑誌記事

学術論文や雑誌記事も多数発表しており、ソフトウェアプロセスアセスメント、情報セキュリティ、標準化などに関する幅広いテーマを扱っています。

主な論文・記事として以下が挙げられます。

「寄木細工再々論」（1976年）
「感性重視設計へのVR応用研究」（1995年）
「プロセス能力評価の国際規格動向CMMモデルのセキュリティ規格もIS化目指す」（2001年）
「技術 ソフトウェア・プロセス・アセスメント(SPA)の概観」（2000年）
「座談会 我が国におけるCMMの導入について」（2000年）
「技術 小規模企業向けプロセス規格--SLCP/共通フレームの国際テイラリング」（2011年）
「電子ソフトウェア調達とソフトウェア・プロセス・アセスメント」（2001年）
「ブラッシュアップ ソフトウェアプロセスアセスメント(3)」（2001年）
「ソフトウェアプロセスのアセスメントと改善」（2001年）
「ITセキュリティのためのCMM規格」（2002年）
「SPES2006の目的と成果」（2006年）
「パネル討議「プロセス改善の効果」」（2006年）
「ITセキュリティガバナンス--その必要性と現状」（2007年）
「標準を制するものは市場を制する--最近の標準化動向と課題」（2008年）
「小規模開発組織と品質課題 : VSE国際規格の課題に即して」（2015年）
「システム開発の情報セキュリティの基礎 : 小規模開発組織のセキュアな開発にむけて」（2016年）

講演

講演活動も積極的に行っており、ソフトウェア開発プロセスや品質管理に関する知識や経験を共有しています。

「プロセスアセスメント活動の紆余曲折」（2020年）
「VSE(ISO29110) 小規模開発組織向け開発プロセス」 (2014年)

編集

伏見氏は、著作の編集も手掛けています。

『伏見康治コレクション別巻 物理学論文選集・原子力論集』（2015年）
『ISO/IEC 15504|ISO_IEC 15504 part 1 Process Assessment』（2004年）
『プロセス改善ナビゲーションガイド、ベストプラクティス編』

翻訳

海外の優れた書籍の翻訳も行っています。

『自然法則の探究』（1973年）
『シラードの証言』（1982年）
『加速器の科学―原子核物理学の道具』（1971年）
* 『CISSP認定試験公式ガイドブック』（2005年、監修）

まとめ

伏見諭氏は、経営者、技術者として、また国際標準化活動の推進者として、幅広い分野で卓越した貢献を続けている人物です。ソフトウェア開発プロセス、情報セキュリティ、標準化に関する深い知見と豊富な経験を持ち、その活動は多方面に影響を与えています。

外部リンク

https://researchmap.jp/sfushimi

もう一度検索