会津磐梯山 (民謡)

会津磐梯山の概要

会津磐梯山（あいづばんだいさん）は、福島県会津地方に伝わる民謡で、特に夏祭りや盆踊りにおいて重要な役割を果たしてきました。この曲は、「エンヤー」という甲高い掛け声で始まり、その特徴的なリズムが人々を惹きつけます。会津磐梯山は、郡上おどりや阿波おどりとともに、日本三大民踊の一つに数えられ、多くの人々によって親しまれています。

この民謡はもともと七日町の阿弥陀寺で唄い踊られていた「玄如節」が起源とされています。さらに、源流をたどると新潟県西蒲原郡巻町の民謡「五ケ浜甚句」にまで遡ることができ、地域の文化が色濃く反映されていると言えるでしょう。会津磐梯山は、盆踊りの際によく唄われており、時には「気狂（かんしょ）踊り」と呼ばれる踊りと同時に楽しむこともあります。

1934年、歌手の小唄勝太郎によってこの曲が広められ、「会津磐梯山」と名付けられました。彼がビクターレコードから発表したことで、全国的に知名度が上がり、三味線の伴奏と長田幹彦によって整えられた歌詞が用いられるようになりました。しかし、勝太郎のアレンジが元の歌詞と大きく異なることから、地元では「郷土芸術を冒涜するもの」として批判の声が上がったのも事実です。

その後、山内磐水などの人々が「正調会津磐梯山」と名付けられた新しい演奏スタイルを広めることに尽力しました。これは、元の民謡に近い内容であることを証明するためでした。歌には「小原庄助」というキャラクターが登場し、「朝寝朝酒朝湯が大好きで、それで身上潰した」という歌詞が特徴的です。この小原庄助なる人物が実在の人かどうかは諸説あり、今もなお研究が続けられています。

また、歌曲中の言葉やフレーズは、時代や状況によって変化してきたことも特筆すべき点です。戦時中には「朝寝朝酒朝湯が大嫌い」と変更されたとも言われており、これにより当時の人々の心情が表現されることになりました。

実際に「正調会津磐梯山」には162番まで存在するとされますが、大半は元の内容から逸脱しているため、民衆にもっと親しみやすくアレンジされたものが多いです。現在よく知られる歌詞の冒頭は「会津磐梯山は宝の山よ」となっており、これは正調会津磐梯山の21番に該当します。この歌詞では、会津の「緑の夏」と周囲の美しい自然を描写しています。

1950年代から、歌手の美空ひばりや三橋美智也、小林旭などがこの曲をシングルレコードとして発表し、さらに1973年にはザ・ドリフターズによる替え歌「ドリフの会津磐梯山」が公開されるなど、ジャンルを超えた多くの人々に愛され続けています。

会津磐梯山は、地域の歴史や文化を伝える宝物でもあり、毎年清々しい夏を迎える際には、盆踊りや祭りでこの民謡を楽しむという伝統も受け継がれています。

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