伝光録

伝光録（でんこうろく）

伝光録は、曹洞宗の著名な僧侶瑩山紹瑾によって著された、釈迦から懐奘に至る曹洞宗の歴代祖師の伝記を集めた著作です。成立は正安2年（1300年）で、全53章からなるこの書物は、なんと2巻に分かれています。この記録は、曹洞宗において非常に重要な位置付けをされており、正法眼蔵とともに信奉されています。

概要

伝光録は、瑩山紹瑾が大乗寺にて弟子たちに向けて説いた内容が元となっており、それを弟子たちが集約したものです。本書では、釈迦からインドの28祖、中国の23祖、そして日本の道元や懐奘を含む、合計で53名の祖師がそれぞれ1章ごとに詳述されています。各章は、彼らがどういった悟りの機縁を得たのかを中心に展開されており、仏教の伝統や教えがいかに受け継がれてきたかを示す貴重な資料となっています。

構成

伝光録は、各章が以下の4部で構成されています：
1. 本則 - その章の主題を定義する部分。
2. 機縁 - 祖師が悟りを開いた背景や出来事。
3. 提唱 - 祖師の教えや気づき。
4. 偈頌 - 伝承される詩歌の形式で表された教え。

この構造により、読者は祖師の思想や体験をより深く理解できるよう配慮されています。

刊行情報

伝光録は、他の多くの仏教書と同様に様々な形で刊行され、出版されてきました。1857年には佛洲仙英が、既存の写本を校訂し新たに版を設けました。この仙英本は多くの後続の版の基礎となっています。また、近代においても数多くの校訂版や解説書が発行されています。特に目を引くのは、1885年に出版された『瑩山和尚伝光録』や、1944年に岩波文庫から刊行された版です。これらは、現代の理解を助けるために様々な学者たちによって編集され、普及されてきました。

伝光会

昭和31年（1956年）以降、伝光録の提唱会である伝光会が總持寺を中心に開催されています。この会は、祖師の教えを深め、理解を促進するための重要な場となっています。

参考文献

本書の理解を深めるためには、いくつかの参考文献が効果的です。1979年に出版された『禅学大辞典』や、宗典編纂委員会が編纂した2005年の『伝光録』の解題が特にお勧めです。これらの文献は、伝光録に関する知識を広げる上で役立ちます。

伝光録は、ただの伝記集ではなく、仏教の教えや哲学を深く掘り下げるための重要な資料であることから、多くの人々にとって価値ある読み物となっています。

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