伯朗大道

伯朗大道

伯朗大道（はくろうだいどう、Mr. Brown Avenue）は、台湾東部の台東県池上郷に位置する、錦園村、萬安村、新興村に跨る農道です。正式名称は「錦新三号道路」といい、自動車の乗り入れが禁止されています。この道の特徴は、電柱が一本もない、どこまでも続く美しい田園風景です。

歴史

元々、この一帯は飲料メーカーの金車（King Car）が展開する缶コーヒー「ミスター・ブラウン・コーヒー」のCMロケ地として有名でした。その縁から、この農道は「伯朗大道」と呼ばれるようになりました。さらに2013年、俳優の金城武が出演したエバー航空のCMロケ地となったことで、一躍観光名所として注目を集めるようになりました。

しかし、観光客が急増したことで、農地への無断侵入や作物の踏み荒らしといった問題も発生しました。この事態を受け、エバー航空の当時の董事長である張國煒自らが現地を訪れて謝罪し、池上米を自社便の機内食に採用することを約束するなど、事態の鎮静化を図りました。

このような問題を解決するため、池上郷公所は文化資産（文化景観）登録を申請し、2014年5月末に正式に登録されました。登録名は「池上萬安老田区」に変更されました。しかし、一部の住民は、事前の説明がなかったことや、自宅の改築制限、農作コストの上昇の可能性に不満を表明しました。

また、当初は稲の収穫期のみだった通行規制は、2015年から二輪車を含むすべての自家用車を対象に、農業従事者や許可証保持者以外は通年で通行禁止となりました。この一帯は、文化資産保存法や道路管理処罰条例、発展観光条例に基づいて交通規制が実施されています。

金城武の樹

伯朗大道には、1本のアカギの木があり、金城武がCMで茶を嗜むシーンで使われたことから、「金城武の樹（金城武樹）」と呼ばれるようになりました。この木は、伯朗大道を代表する観光スポットとして、多くの観光客が訪れます。

蔡依林の樹

2017年4月、歌手の蔡依林（ジョリン・ツァイ）が観光で伯朗大道を訪れた際、金城武の樹から東方約100メートルにあるアカギの木を自撮りしました。その写真をSNSに投稿したところ、この木も金城武の樹と同様に観光客が殺到するようになりました。池上郷公所は、この木を「蔡依林樹」と正式に命名し、伯朗大道の新たな名所となりました。行政区画としては萬安村に位置します。

その他の「伯朗大道」

金城武の樹と田園風景の組み合わせが人気となったことから、台湾各地で同様の場所が「〇〇の伯朗大道」と呼ばれるようになりました。例えば、宜蘭県冬山郷の農道は「宜蘭版伯朗大道」と呼ばれていますが、正式には「稻間美徑」と命名されています。その他にも、桃園市亀山区や台南市六甲区、苗栗県西湖郷など、各地で同様の取り組みが見られます。

アクセス

台湾鉄路管理局の池上駅から、レンタル自転車またはバス（鼎東客運8176路）を利用し、保安宮で下車するとアクセスできます。


伯朗大道は、美しい田園風景と著名なCMロケ地としての歴史を持つ、台湾を代表する観光スポットです。訪れる際は、農地の保護と地元住民への配慮を心がけ、この美しい景観を楽しみましょう。

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