アカギ

アカギ（赤木）

アカギ（学名: Bischofia javanica）は、コミカンソウ科に分類される常緑性の高木、または半落葉性の高木です。別名としてカタンとも呼ばれ、琉球地方ではアカン、アカツグ、ミミジンなどの異名があります。

名称の由来

和名のアカギは、その名の通り、樹皮が赤みを帯びていることに由来します。また、植物学者の辻井達一は、材が非常に硬く、切断時に生じる木屑で手が赤く染まることが、この名前の由来になった可能性も指摘しています。中国では秋楓（しゅうふう）または茄冬（かとう）と呼ばれています。

分布と生育環境

アカギは、日本国外では台湾、中国南部、東南アジア、インド、ポリネシア、オーストラリアなどの広範囲に分布しています。日本では、南西諸島（奄美群島、沖縄諸島、先島諸島）や小笠原諸島に自生しています。ただし、小笠原諸島に生育するものは、薪炭材としての利用のために移植されたものであり、在来の植生を駆逐する恐れがある点が懸念されています。また、奄美群島のアカギも人為的な移入によるものと考えられています。アカギは、日本生態学会によって「日本の侵略的外来種ワースト100」にも選定されています。

南西諸島では、主に石灰岩地帯に生育し、タブノキなどと共に極相林を形成する樹種の一つです。石灰岩質の土壌に適応していますが、さまざまな環境条件にも耐えることができます。肥沃な場所では特に生育が良く、大きく樹冠を広げます。

形態

アカギは半落葉広葉樹の高木で、成長が非常に速いのが特徴です。樹高は10メートルほどになりますが、根元の直径は1メートル以上にも達します。樹皮は細かく割れて剥がれやすく、全体的に赤褐色をしています。この樹皮の色が和名の由来にもなっています。

葉は3出複葉で互生し、小葉は8〜15センチ[[メートル]]の卵形をしています。革質で濃い緑色をしており、光沢があります。先端は尖っていて、鈍い鋸歯があります。葉柄は赤みを帯びています。また、この葉は与那国島に生息する世界最大の蛾、ヨナグニサンの幼虫の食草としても知られています。

花期は2〜3月頃で、雌雄異株です。葉腋から円錐花序が出て、黄緑色の小さな花を多数咲かせます。果実は直径1〜1.5センチ[[メートル]]の球形で、小さな梨のような形をしています。渋みがありますが食用にもなり、野鳥の食料にもなります。

また、アカギはアレロパシーを持つとされています。

利用

アカギは、街路樹、庭木、防風樹、公園樹などとして広く利用されています。台湾では並木として植えられている場所もあります。材は赤く、緻密で硬く、白色の木目があるため美しく、家具、建材、工芸品などの材料として用いられています。果実は食用としても利用されます。

沖縄県のアカギ

沖縄県では、アカギは古くから文化と深く関わってきました。1623年に首里王府によって編纂された歌集『おもろさうし』には、アカギに関する歌が収録されています。

また、樹皮はミンサー織りの染料としても利用されてきました。かつて那覇市首里周辺には、アカギの大木が繁る森が広がっていましたが、第二次世界大戦の戦火で多くが失われました。現在では、首里金城町の一部にその名残が見られます。

特に「首里金城の大アカギ」は、樹齢200〜300年とも言われる大木が6本あり、国の天然記念物に指定されています。首里城の南西側に位置する内金城御嶽にあるアカギの中で、最大のものは樹高10〜15メートル、胸高直径140センチ[[メートル]]にも達します。首里城前には、戦火で焼け残った大木が一本だけ残っており、その頂にはアコウが寄生しています。

また、沖縄国際大学構内には、沖国大米軍ヘリ墜落事件によって焼け焦げたアカギの木が残っています。

脚注

注釈

特になし

出典

特になし

参考文献

辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社、2006年、109-111頁。ISBN 4-12-101834-6。
大野照好 監修・片野田逸郎 著『琉球弧・野山の花 from AMAMI』南方新社、1999年、95頁、ISBN 4-931376-21-5。
林弥栄 編『山溪カラー名鑑 日本の樹木』山と溪谷社、1985年、390頁、ISBN 4-635-09017-5。

関連項目

金城武の樹 - 金城武が出演したエバー航空のCMロケ地となった台湾台東県池上郷伯朗大道にあるアカギの木。

外部リンク

* アカギ/大阪百樹

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