木簡

木簡の概要

木簡（もっかん）は、古代の東アジアにおいて、主に墨で文字を書くために使用された細長い木の板です。この木製の板は、後に紙が広く普及することによって使用が減少しましたが、完全には消滅することはありませんでした。木簡は、今でも荷札などの用途で引き続き利用されています。木簡とは、竹片に書かれた竹簡と共に、簡牘（かんとく）と呼ばれる書類の一種として分類されます。

木簡の歴史的背景

木に文字を書くことは、文字を使用する文化において古くから行われていました。木簡は、落書きや呪符などとともに、過去の人々の生活の様子を伝える貴重な資料です。例えば、中国、朝鮮、日本では、一行または数行の文が書かれた木の板が多数発見されています。これらの細長い板は、時代を反映した木簡として重要視されています。

木簡の用途と特徴

木簡の特徴として、削って書き直すことができるため、再利用が可能である点があります。筆、墨、硯に加え、小刀が文具の一部として使われ、その削り屑に文字が書かれる例も確認されています。このため、過去の記録を改竄するのが難しいことも特筆される特徴です。

中国における木簡

「簡」という文字は元々竹製の札を指すもので、中国では竹に文字を書いた竹簡が広く用いられていました。特に黄河流域より北の地域では、木簡が使われていました。中国の考古学では、竹簡と木簡をまとめて「簡牘」と呼び、日本の木簡学は「簡牘学」として研究されています。

木簡の発見

木簡の発見は、20世紀初頭に行われた考古学的な探査に始まります。有名な発見として、英国の探検家オーレル・スタインによってニヤ遺跡で50枚、スウェーデンのスウェン・ヘディンによって楼蘭で120枚以上の木簡が発見されました。これらは極度に乾燥した環境で保存され、考古学の重要な資料となりました。その後、中国人考古学者たちによっても多くの木簡が発見されています。

日本の木簡

日本においても木簡が多く発見されていますが、代表的なものは正倉院や秋田県で見つかっています。日本の木簡は、ほとんどが土中に水に漬かった状態で発見されています。このため、木簡の状態や利用法について様々な研究が行われています。最近の発見では、平城京跡や国分松本遺跡などから多くの木簡が見つかり、特に長屋王家の木簡が重要視されています。

使用と消費

木簡は一度使用された後、再利用のために削られ、新たな文字が書かれることが多かったです。削り屑の中にも文字が書かれているものがあり、こうした情報が古代の習慣や文化を知る手がかりとなります。最終的には腐蝕を免れた木簡が考古学的資料として発見されることが多いです。

朝鮮の木簡

朝鮮半島でも木簡が発見されており、戦前からの発見を含め、関連する遺跡から数多くの木簡が出土しています。日本の木簡との関連性が研究されており、古代文化の交流を知る重要な資料とされています。

他地域の木簡

木簡の使用は東アジアに限らず世界中に見られます。ローマ時代の木簡がポンペイなどの遺跡から発掘されており、これらは書写文化の普遍性を示しています。特に、植物を記録媒体とした事例は多く知られています。

まとめ

木簡は、古代の人々の生活や文化を知るための重要な手がかりとなる貴重な資料であり、今後の研究が更なる発見につながることが期待されています。

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