伯耆流星野派

伯耆流星野派の概説

伯耆流星野派（ほうきりゅうほしのは）は、岩国の片山伯耆流から派生した居合の系統であり、熊本の星野家に伝えられています。この流派が根付いた背景には、地域の歴史や流派間の交流が豊かに影響していることが挙げられます。現在広く実践されている伯耆流居合術は、この星野派の技術が基盤となっていますが、流派名としては「伯耆流」を名乗っており、「伯耆流星野派」という名称は近年になって一部の師範によって使用されています。

歴史的背景

熊本藩において、片山流は片山久安（片山伯耆流の流祖）の弟子であった浅見一無斎によって伝えられ、その流派は熊本地域に根付くこととなりました。しかし、岩国の片山家と熊本藩における星野家や他の居合の師家との間には交流が少なかったため、実際には業に大きな隔たりが生まれることとなりました。江戸時代の中期以降、熊本系の業は独自に発展し、片山家の技術とは異なるものへと変貌を遂げました。

安永5年（1776年）、星野実員（星野角右衛門）は武者修行のために岩国の片山家を訪れ、そこでの親交を通じて両家の間に新たな交流が成立しました。この出来事は星野道場において片山家の技術が一部伝承される契機となりました。その後、実員の養子である星野実寿（星野龍介）も片山家で修練を積み、道場で教えられる片山家の技が徐々に増えていくことになります。

さらに、星野家は熊本藩において薙刀の流派（楊心流長刀）や柔術の流派（四天流組討）でも活躍していたことから、星野の系統ではこれらの武道も共に伝えられることとなりました。

現代における伯耆流星野派

昭和19年（1944年）、片山家の道場が閉鎖された後も星野道場は存続し続けましたが、第12代の星野宣敏は大阪府に移住し、その過程で熊本における伝承が途絶えていきました。が、宣敏は大阪に移住後も伯耆流の指導を続け、彼の弟子である加納武彦は兵庫県においてその道統を受け継ぎました。また、京都地区には熊本県出身の大野熊雄の系統が大野派伯耆流として存在しています。

現在の伯耆流星野派は、大阪や兵庫、さらには熊本といった地域でその伝承が行われています。この流派では、熊本系特有の業として「表の抜き6本」や「中段の抜き9本」が演武として公開されています。これらの技術を習得した後、さらに深い学びとして片山家で教えられていた「表五箇条」が学ばれる流れとなっています。

業の詳細

表の技

• - 押へ抜
• - 小手切
• - 切付
• - 抜留
• - 突留
• - 四方金切

中段の技

• - 膝詰
• - 胸之刀
• - 追掛抜
• - 返リ抜
• - 一乍足
• - 向詰
• - 長廊下
• - 切先返
• - 四方詰

このように、伯耆流星野派は独自の技術と歴史が豊かな流派として、現代に至るまでその伝承を続けています。

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