伴勝久

伴勝久の生涯とシドニー湾攻撃

伴勝久（ばん かつひさ）は、1918年9月2日に愛知県で誕生し、日本の海軍軍人として短い生涯を送った人物です。彼は1942年5月31日に行われたシドニー湾攻撃で戦死し、二階級特進を果たし最終的に海軍少佐の地位に昇進しました。今回は、彼の経歴や特殊潜航艇「甲標的」との関連について詳しく見ていきます。

幼少期と教育

伴は材木店を営む家庭の三男として育ちました。彼の父親は日露戦争に従軍し、功績を称えられた元陸軍軍曹でした。そのため、伴の家庭環境は軍人に対する尊敬の念が根付いたものでした。海辺の近くで育った伴は、自然と水泳や乗馬に親しみ、活発な幼少期を過ごしました。

学業面では、刈谷中学に進学し、そこでサッカーに取り組みました。中学5年生で海軍兵学校の受験に挑みましたが、失敗。その後、一年間の浪人生活を経て再挑戦し、見事に合格を果たします。選択の結果、海軍兵学校に進学することとなります。

海軍でのキャリア

伴は1940年8月に海軍兵学校を卒業し、最初は練習巡洋艦「香取」に乗組みました。ここでの訓練は日中戦争の影響で短縮されましたが、続いて軽巡洋艦「神通」、そして水上機母艦「千代田」へと転任しました。「千代田」は表向きは水上機母艦でしたが、実際には特殊潜航艇の搭乗員養成を行なっていたのです。

伴は同期生たちと共に特殊潜航艇の艇長として訓練を受ける中で、真珠湾攻撃の際には多くの仲間を失いました。彼自身も多くの困難を乗り越えながら、任務に就く心構えを持っていました。66期生の中では、特にともに厳しい訓練を乗り越えた仲間たちとの絆が強固であったとされています。

シドニー湾攻撃の展開

シドニー湾攻撃は、1942年5月31日に行われました。当日は、「特潜」と呼ばれる潜航艇3隻が出撃し、その中に伴の乗艇が含まれていました。指揮官は真珠湾攻撃でも活躍した佐々木半九大佐で、攻撃目標はシドニー港に設定されていました。

出撃後、「特潜」艇の一つが防潜網に絡まり自爆し、中馬艇の艇長と艇附が自決しました。伴の艇は米重巡洋艦シカゴに接近するも発見され、砲撃を受けたことで一時退避を余儀なくされます。しかし、彼は勇敢にシカゴに向かい、2本の魚雷を発射しました。一方は不発に終わり、もう一方は岸壁に衝突して爆発しましたが、伴艇はその後、シカゴの機銃掃射を受け沈没する結果となりました。

結果と評価

シドニー湾攻撃に参加した「特潜」の艇長たちの運命は悲惨でした。攻撃から64年後、伴と艇附の遺骨が発見されるなどの後の調査が行われましたが、彼の行った攻撃は多くの犠牲を伴い、彼自身も戦死したままでした。

伴勝久は海軍の歴史の中で特異な存在であり、その勇敢な行動は多くの人々に語り継がれています。彼の生涯は、戦時中の若者の命を懸けた戦闘精神を象徴するものであり、今後もその功績は評価され続けることでしょう。

伴の艇附、芦辺守

伴の艇附として共に戦った芦辺守もまた、水泳の名手として知られ、戦死後に2階級特進を果たした特務少尉でした。彼の勇気と伴の戦友としての絆は、戦時中の若者たちの奮闘を象徴しています。

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