位格的結合

位格的結合（ヒュポスタシス）

位格的結合とは、キリスト教神学における用語で、キリストの神性と人性が一つの位格、すなわちヒュポスタシスとして合一することを意味しています。この概念はエフェソス公会議で公式に認められ、キリストの二つの本性が「ロゴス」において結びつくことが強調されました。いわば、位格的結合はキリスト論の中心的な教義として位置付けられています。

ヒュポスタシスの起源と用法

「ヒュポスタシス」という単語は、もともと4世紀後半から5世紀のキリスト論の議論以前から存在しており、ギリシャ哲学、特にストア派の文脈で使われていました。この語は新約聖書の中でも何度か登場し、特にヘブライ人への手紙1章3節に見られます。このため、この単語は後の時代における特別な専門用語となったのです。

本来の意味は「実体」や「本質」であり、このことが混乱を生むことがあります。例えば、アレクサンドリア教会のキュリロスはヒュポスタシスを個体として解釈しましたが、彼の対立者であるキュロスのテオドレトスは神性や人性の「ウーシア」として捉えました。このような異なる解釈により、今日では「位格」としての理解が広がっています。

ニカイア信条とキリスト論

第1ニカイア公会議では、父と子が同一本質である旨が宣言され、特にニカイア信条が成立しました。この信条は、キリストの神性が重要な位置を占めることを明示しました。

位格的結合の探求は、ラオディケイアのアポリナリオスが最初に行ったとされます。彼はキリストの二つの性質が一つのヒュポスタシスに集約されていると主張しました。その後、ネストリオス派のテオドロスは二つの本性と二つのヒュポスタシスが共存するとし、議論がさらに分かれることになりました。

カルケドン公会議では、二つの本性がそれぞれの特性を保持したまま一つの位格において結合すると宣言されました。この教義は、神秘的な合一とも呼ばれ、アレクサンドリアのキュリロスは「名状し難く、理解を超えた形で合一した」と表現しています。

カルケドン信条の影響

カルケドン信条を否定する東方諸教会は、キリストが持つ本性は一つのみと定義しており、これが単性論と呼ばれています。カルケドン信条の「二つの本性」という表現は、ネストリオスのキリスト論とも関連がありますが、東方諸教会はエウテュケス派からは異なる立場を持っています。

近年では、東方正教会と他の東方教会の指導者たちが和解に向けた共同声明に署名するなど、分裂した教会の再統合を目指す活動が進められています。

まとめ

位格的結合はキリストの神性と人性の合一を示す重要な教義であり、過去における多くの神学的議論を通じて発展してきました。この教義は、キリスト教信仰の核心として今日も多くの信者に受け入れられています。

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