低速度撮影

低速度撮影（ていそくどさつえい、英語: Time-lapse photography）は、高速度撮影とは対照的に、カメラの撮影コマ数を通常よりも少なくする撮影技法です。具体的には、映画の標準的な撮影速度である24コマ/秒（ビデオの場合は30コマ/秒）よりも少ないコマ数で撮影を行います。この技法を用いることで、時間の経過を凝縮し、普段はゆっくりとしか変化しない現象を、あたかも早送りしているかのように見せることができます。

低速度撮影の種類

低速度撮影には、主に「コマ落とし」と「タイムラプス」の2種類があります。

コマ落とし

コマ落としは、映画撮影で用いられる技法の一つで、アクションシーンなどでスピード感を強調するために使用されます。具体的には、1秒間に撮影するコマ数を通常の半分程度に減らし、標準速度で再生することで、映像内の動きが速く見えます。ただし、シャッタースピードの調整が不十分だと、映像が不自然にコマ落ちして見えることがあります。これを防ぐためには、シャッタースピードを通常撮影時よりも遅く設定する必要があります。また、監視カメラの映像記録容量を節約する目的でも利用されます。映画監督のマキノ雅弘は、戦前の作品でこの技法を頻繁に使用していました。古い映画でコマ落としのように見える映像は、撮影時の速度と再生速度の不一致によるもので、本来のコマ数で再生すれば、自然な動きで鑑賞できます。

タイムラプス

タイムラプスは、微速度撮影やインターバル撮影とも呼ばれ、太陽や星の動き、植物の成長など、人間の目にはゆっくりとしか見えない現象を捉えるのに使われます。コマ落としよりもさらに少ないコマ数で撮影されることが多く、動画撮影機能が不十分なカメラでも、静止画を繋ぎ合わせて動画のように見せることが可能です。例えば、東京スカイツリーの建設過程を定点観測し、それをタイムラプス動画として公開した例があります。

タイムラプスの応用

タイムラプスには、さまざまな応用撮影方法が存在します。

モーション・タイムラプス: カメラを移動させながら撮影するタイムラプスです。電子制御ジンバルや電動スライダーなどを使用し、滑らかなカメラワークを実現します。
ハイパーラプス: 静止画間のブレやズレを補正し、スムーズに繋ぎ合わせたタイムラプスです。モーション・タイムラプスとは異なり、動きによる手ぶれが補正され、より滑らかな映像表現が可能です。
ハイダイナミックレンジ (HDR) タイムラプス: フレームごとに異なる露出で撮影し、それらの情報を合成することで、ダイナミックレンジの広い映像を作り出します。
ホーリーグレイル: 昼夜の移行など、露出が大きく変化する時間帯を撮影するタイムラプスです。自動露出やISO設定、コンピュータ制御を組み合わせることで、滑らかな露出変化を実現します。
バレットタイム: 被写体の周囲に多数のカメラを配置し、それらを連続して撮影することで、被写体の動きをスローモーションで見せながら、カメラアングルをスムーズに移動させる手法です。近年では、360度カメラの利用で手軽に撮影できるようになりました。
モーションコントロール撮影: カメラの動きを精密に制御しながら撮影する手法で、複雑な動きを伴うタイムラプス撮影を可能にします。
* 長時間露光タイムラプス: 長時間露光した写真を用いて作成するタイムラプスです。天体の動きなどを動画として表現するのに適しています。

低速度撮影は、映画制作や科学研究、ドキュメンタリー制作など、多岐にわたる分野で利用されており、その表現力と多様性から、今後も更なる発展が期待される撮影技法です。

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