住吉津

住吉津（すみのえのつ）とは

住吉津は、古代日本に存在した港の一つです。おおよそ7世紀から8世紀にかけて活動していたと考えられ、現在の大阪府大阪市住吉区に位置していました。この地域は、上町台地の南西端にあり、細江川（通称・細井川）の河口近くに形成されていた入江にあたります。

名称の由来

「住吉」という地名の由来については、平安時代ごろまで「すみのえ」と呼ばれ、時には「墨江」や「清江」という表記も用いられていました。「住吉」という名前が初めて文献に登場するのは、『日本書紀』の神功皇后摂政元年に記された記事で、忍熊皇子が駐屯したとされる出来事に関連しています。また、『風土記』の逸文には、神功皇后が住吉大神の鎮座地を選定する際の逸話が存在し、「真住み吉し、住吉の国」という表現が「住吉」の名称の由来とされています。

住吉津という名称が文献に初めて登場するのは、『日本書紀』の雄略天皇14年の正月の春に関するもので、呉に派遣されていた身狭村主青が住吉津に呉の使者を連れて帰ったことが記されています。

住吉津の利便性

住吉津は、同時期にあった難波津に対して、河内や大和方面へのアクセスが良好であることから、重要な交通拠点として機能していました。遣隋使や遣唐使の船旅は多くの場合、住吉大社で住吉大神に祈りを捧げて出発し、その後住吉津から海へと向かいました。難波津を経由して、現在の瀬戸内海を九州へ向けて航行していたのです。

文化との関係

住吉津は歴史的な航路の中継地点であるだけでなく、文化的な物語や伝説とも深く結びついています。たとえば、童話「一寸法師」では、主人公が住吉の細江から出発し、住之江の海を経て淀川を上り、京都へ向かうストーリーが展開されます。また、「浦島太郎」に関しては、万葉集巻九の記述や、住吉明神と塩土老翁に関連する伝説などから、住吉津が舞台の候補とされることがあります。

住吉津はただの港ではなく、物の流通や文化交流の場として、古代社会における重要な役割を果たしていました。この地域での歴史的な出来事や伝承は、今も多くの人々に語り継がれています。住吉津は、日本の古代史において重要な意味を持つ場所の一つなのです。

関連項目

• - 住吉大社
• - シルクロード
• - 大阪市

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