住谷一彦

住谷一彦（すみや かずひこ）は、1925年1月1日に生まれ、2022年8月15日に逝去した、日本の著名な経済社会学者です。立教大学の名誉教授として、長年にわたり教育・研究活動に尽力しました。

生い立ちと学歴

住谷一彦は、経済学者である住谷悦治の息子として、京都市に生まれました。弟に住谷磬がいます。松山中学校、旧制松山高等学校を経て、1949年に東京大学文学部心理学科を卒業しました。

研究活動

大学卒業後、名古屋大学法経学部助手、東京都立大学人文学部助手を務めた後、1957年に立教大学経済学部の講師に就任しました。その後、助教授を経て、1965年に教授に昇進しました。1958年から1960年にかけてはウィーン大学民族研究所に留学し、アレクサンダー・スラヴィク教授の指導を受けました。

1969年には「共同体の史的構造論」で早稲田大学から文学博士号を取得しました。1969年から1970年にはケルン大学の客員教授、1976年にはウィーン大学の客員教授を務めました。1990年に立教大学を定年退任し、名誉教授となりました。その後、帝京大学や東京国際大学でも教鞭を執りました。

住谷一彦の研究は、父である住谷悦治から受け継いだ河上肇研究を軸に、マックス・ヴェーバーを大塚久雄から学び、三木清などの思想史、経済社会学、民族学といった広範な領域に及びました。

著書と翻訳

住谷一彦は、数多くの著書と翻訳を執筆しました。主な著書には、以下のようなものがあります。

『共同体の史的構造論 比較経済社会学的試論』（有斐閣、1963年）
『リストとヴェーバー ドイツ資本主義分析の思想体系研究』（未来社、1969年）
『マックス・ヴェーバー 現代への思想的視座』（日本放送出版協会、1970年）
『思想史としての現代 「脱出」と「捕囚」の歴史意識』（筑摩書房、1974年）
『河上肇の思想 特殊・日本『近代』市民社会思想形成史の研究』（未来社、1976年）
『日本の意識 思想における人間の研究』（岩波書店、1982年）
『歴史民族学ノート』（未来社、1983年）
『近代経済人の歴史性と現代性』（日本基督教団出版局、1984年）
『学問の扉を叩く 一戦後学徒の「学問と人生」』（新地書房、1991年）
『河上肇研究』（未来社、1992年）
『日本を顧みて 私の同時代史』（未來社、2004年）

また、共編著としては、以下のようなものがあります。

『マックス・ヴェーバーの思想像』（新泉社、1969年）
『共同体の比較史的研究』（アジア経済研究所、1973年）
『経済思想の事典』（有斐閣選書、1975年）
『近代日本思想大系 27 三木清編』（筑摩書房、1975年）
『南西諸島の神観念』（未来社、1977年）
『求道の人・河上肇』（新評論、1980年）
『家と家父長制』（早稲田大学出版部、1992年）
『住谷天来と住谷悦治 非戦論と平和論』（みやま文庫、1997年）
『歴史学派の世界』（日本経済評論社、1998年）
『歴史への視線 大塚史学とその時代』（日本経済評論社、1998年）

翻訳では、以下のような作品を手がけています。

『重農学派』（未来社、1957年）
『マックス・ヴェーバー 西ドイツの研究動向』（未来社、1979年）
『価値自由と責任倫理 マックス・ヴェーバーにおける学問と政治』（未来社、1984年）
『日本文化の古層』（未来社、1984年）
『マックス・ヴェーバー方法論の生成』（未来社、1985年）
『科学的思考と神話的思考 社会哲学　下』（未来社、1985年）
『マックス・ヴェーバーと近代政治理論』（未来社、1988年）
『マックス・ヴェーバーの業績』（未来社、1997年）

記念論集

住谷一彦の業績を記念して、以下の論集が刊行されています。

『近代世界の変容 ヴェーバー・ドイツ・日本 住谷一彦先生記念論集1』（リブロポート、1991年）
* 『民族学コラージュ 共同体論その他 住谷一彦先生記念論集2』（リブロポート、1992年）

住谷一彦は、その幅広い知識と深い洞察力で、日本の社会科学研究に多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も長く研究者に影響を与え続けるでしょう。

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