河上肇

河上肇の生涯と業績

河上肇（かわかみ はじめ、1879年10月20日 - 1946年1月30日）は、日本の経済学者として広く知られています。彼は、京都帝国大学でマルクス[[経済学]]の研究を行い、後にその理論を実践する活動に身を投じました。その多岐にわたる業績や思想は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

生い立ちと教育

山口県玖珂郡岩国町で旧藩士の家に生まれた河上は、祖母に溺愛される形で育ちました。山口高等学校法科を卒業後、東京帝国大学法科大学の政治科へ入学します。在学中に目の当たりにした東京の貧富の差に大きなショックを受け、経済学に対する関心を深めていきました。1902年に大学を卒業し、その後は国家学会雑誌に論文を投稿するなどして、人々の幸福に寄与しようと決意します。

教職から共産主義へ

1903年に東京帝国大学農科大学の実科講師に就任し、その後も教育活動を行いますが、1905年には教職を辞し、無我愛を主張する団体に参加。しかし、早々に脱退し、読売新聞社に転職。1908年からは京都帝大の講師として、マルクス[[経済学]]の研究を本格的に始めます。1916年に刊行した『貧乏物語』は、貧困の問題を経済学的視点から探求したものであり、大正デモクラシーの時代においてベストセラーとなりました。この作品の中で、彼は贅沢を避けるべきだと訴え、社会全体での質素倹約が貧困解消につながると論じました。

日本共産党との関わり

河上は昭和初期から共産党への資金提供を行い、1932年に日本共産党に入党しました。党に入った後は、機関紙の編集やパンフレット作成に従事し、特にコミンテルンの32年テーゼを翻訳してその方針を広めるなど、党の活動に貢献しました。しかし、1933年には治安維持法違反で逮捕され、懲役5年の刑を受けました。獄中での生活は彼の思想に大きな影響を与え、最終的には共産党活動からの敗北を宣言することになりました。

出獄とその後の活動

1937年に出獄した河上は、その後、自伝や評論を執筆しました。彼は経済学者としての活動を終了し、反映された思想を次世代に伝えることに努めました。 奥深い漢詩にも精通し、獄中での体験は文学的な成果を生むことにもつながりましたが、1946年に老衰と栄養失調により亡くなります。

家族と最期

河上は家族に恵まれ、妻ヒデとの間に子どもたちを持ちました。彼の遺産は、多くの著作や思想の中に組み込まれています。彼が残した『自叙伝』は、彼の生涯や思索について貴重な資料であり、戦後に広く読まれることになりました。

河上肇の思想や業績は、彼の人生を通じて深く根付いており、今日でも多くの研究者や学者にとって重要な研究対象です。彼の考え方や活動は、経済学や社会思想の発展に寄与した重要な要素となっています。

もう一度検索