佐々木吉郎 (経営学者)

佐々木吉郎：日本の経営学の先駆者

佐々木吉郎（1897年3月25日 - 1970年5月28日）は、昭和期の日本を代表する経営学者です。商学博士の学位を持ち、明治大学教授、総長、そして明大経営学部の創設者として知られています。さらに、札幌大学の初代学長、駒澤大学経営学部の創設にも尽力し、日本の経営学の発展に多大な貢献をしました。

生涯と業績

佐々木吉郎は、1897年に広島県三次市に生まれました。旧制三次中学校を経て、1924年に明治大学商学部を卒業。その後、同大学の特選研究生として研究を続け、1927年からは3年間、ベルリン大学に留学し、経営経済学を専攻しました。

1933年、明治大学商学部の教授に就任。恩師である小林丑三郎の勧めもあり、経営経済学という新たな分野を開拓し、「佐々木経営学」として独自の講義を展開しました。1946年には商学部長兼商科専門部長、同大学理事に就任。1949年からは駒澤大学商経学部（経済学部の前身）で「経営経済学」を担当しました。

1950年には商学博士の学位を取得。1953年、商学部から分離する形で経営学部を創設し、初代学部長に就任しました。当時、国立大学では神戸大学に経営学部がありましたが、私立大学としては日本初の経営学部でした。1960年には明治大学の総長に就任し、大学運営に貢献しました。

1965年には、水田三喜男が創設した城西大学の初代経済学部長に就任。1967年には明治大学名誉教授、札幌大学初代学長に就任しました。1968年からは駒澤大学・大学院商学研究科教授として、博士課程・修士課程で経営学・経営学史を担当。1969年には駒澤大学の初代経営学部長、経営学研究所長に就任しました。

1970年5月28日、心不全のため東京都立荏原病院で逝去。享年73歳でした。葬儀は明治大学・駒澤大学の合同で行われ、東京霊園に埋葬されました。

その他の活動

佐々木吉郎は、教育・研究活動以外にも、様々な分野で活躍しました。太平洋戦争前はレスリング部長、戦後は野球部長を務め、六大学野球連盟理事長として、当時米軍専用だった神宮球場の開放に尽力しました。また、日本経営学会常任理事、日本会計研究学会常任理事、日本世論協会理事、全国学生詩吟連盟名誉会長なども務めました。

叙勲と記念

佐々木吉郎の功績は高く評価され、1962年に私学振興の功により藍綬褒章、1967年に勲二等旭日重光章を受章しました。明治大学駿河台キャンパスにある大学会館とリバティタワーの間にある坂道「吉郎坂」は、佐々木の功績を記念して名付けられました。

主な著書

佐々木吉郎は、数多くの著書を執筆し、経営学の発展に貢献しました。主な著書には、以下のようなものがあります。

『経営経済学の成立』（1930年）
『商業経営論』（1933年）
『広告経済総論』（1937年）
『小売商と販売計画』（1938年）
『経営経済学への道』（1948年）
『続・経営経済学の成立』（1950年）

門下生

佐々木吉郎は、多くの門下生を育成し、その中から著名な研究者や実業家が輩出されました。門下生の一人である藤芳誠一は、明治大学名誉教授を務めました。

佐々木吉郎は、日本の経営学の発展に多大な貢献をした先駆者として、その功績は永く記憶されることでしょう。

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