佐久・わが市

「佐久・わが市」

「佐久・わが市」（さく わがまち）は、長野県に位置する佐久市の市民歌です。この歌曲は、1981年に当時の（旧）佐久市が市制20周年を記念して制定されました。作詞は地元出身である山川啓介に、作曲は神津善行が手がけています。

この市民歌の制定にあたっては、一般的に採用されている懸賞募集方式は用いられませんでした。初めから地元の才能を活かす形で作成することが重視されたため、作詞と作曲をそれぞれの専門家に依頼したのです。このようなアプローチによって、「佐久・わが市」は地元の特色や風土をうまく表現しているといえるでしょう。

また、制定当時、レコード会社のポリドール（後にユニバーサルミュージック）からは、五十嵐喜芳の歌唱によるシングル盤がリリースされ、B面には東海林太郎が歌う「佐久高原メロディー」が収録されています。このように、歌曲がシングルとして販売されたことも、地域の文化の一部として重要な意味を持っています。

その後、2005年4月1日、（旧）佐久市は北佐久郡の望月町や浅科村、南佐久郡の臼田町と合併し、新たに（新）佐久市が誕生しました。この時、多くの自治体が合併によって新たに市歌を制定する中で、合併協議会では「佐久・わが市」の歌詞が再評価されました。

協議の結果、歌詞には千曲川や周辺の山々、豊かな自然環境といった佐久の風土を称える内容が含まれており、合併後もそのまま引き継ぐことが決定されたのです。このように、旧市から新市へと市歌が継承された事例は珍しく、地域の歴史や文化を大切にする姿勢が窺えます。

さらに、長野県内には、佐久市の他にも伊那市が同様に合併後に旧市の歌を継承しています。このような事例は、地域の市歌が市民のアイデンティティの象徴として機能していることを物語っています。

現在、佐久市役所では、市民歌の演奏が様々な場面で行われています。区長総会や年賀の式典、職員の表彰式典、さらには戦没者追悼式などで市民歌が演奏されており、市民にとって「佐久・わが市」は心の支えとなっていることでしょう。

市民歌は、その街の歴史や風土、文化を詩に表現する重要な役割があり、地域の人々に愛され続けることが求められています。このような視点からも、「佐久・わが市」はこれからも地域のシンボルとして長く親しまれ続けることが期待されます。

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