佐久間洞巖

佐久間洞巖（さくまどうがん）は、承応2年（1653年）に生まれ、享保21年（1736年）に没した、江戸時代前期から中期にかけて活躍した儒学者、画家、書家です。幼名は梅之助、通称は彦四郎といいました。新田氏の支族である新井氏の出身で、父は仙台藩に仕えていました。

幼少の頃から聡明で、兄から学問を学びました。14歳頃から書を佐々木志頭磨に、画を狩野洞雲に師事し、17歳の時に仙台藩の画師であった佐久間友徳の養子となりました。36歳の時、自らが描いた絵の知識不足を恥じ、それまで無関心であった学問に励むようになり、遊佐木斎に儒学や歴史を学びました。

享保年間には、仙台藩の国史編纂を命じられ、『先世年譜実録』などの編纂に関わりました。元禄年間に発見された多賀城碑を写し取り、墨本を公刊して、藩主の伊達吉村に城碑の保存を要請しました。

68歳で隠居してからは、書画を楽しみました。特に持明院流の書を京都の澤井穿石に学び、当時、洞巖の書風を真似るものが多かったといわれています。享年84歳で亡くなり、仙台城北の荘厳寺に葬られました。

交友関係では、新井白石との親交が特に深く、面識はなかったものの、数十年にもわたり書簡を交わしていました。

著作には、『奥羽観跡聞老志』、『五十四郡考』、『塩竈松島図記』、『名取郡志』、『復讐紀事』、『容軒書画譜』などがあります。

佐久間洞巖は、学問、芸術の両面で才能を発揮し、江戸時代の文化に大きな足跡を残しました。

参考文献
『先哲叢談 後編』巻4
『新佐手簡』※新井白石との間で交わした書簡。

関連文献
* 荒川久寿男『新井白石の学問思想の研究 : 特に晩年を中心として』皇學館大学出版、1987年3月。

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