佐伯仁志

佐伯仁志

佐伯仁志（さえき ひとし、1958年3月2日 - ）は、日本の法学者であり、中央大学大学院法務研究科教授を務めています。専門は刑法、経済刑法、少年法であり、日本刑法学会の理事も務めています。愛媛県出身で、法学者である平野龍一の弟子として知られています。

学説

佐伯の出世作として知られるのは、神戸大学助[[教授]]時代の論文「被害者の錯誤について」です。この論文では、既に山中敬一が取り組んでいたテーマをさらに掘り下げ、西ドイツの法学者グンター・アルツトの「法益関係的錯誤理論」を日本に紹介しました。また、日本の判例を詳細に分析することで、この分野における新たな視点を提供し、注目を集めました。

佐伯の刑法学説の基本的な立場は、師である平野龍一と同じく結果無価値論に基づいています。結果無価値論とは、行為の結果が法益を侵害した場合にのみ、その行為を処罰するという考え方です。

経歴

佐伯は、1976年に愛媛県立今治西高等学校を卒業後、1979年に司法試験第二次試験に合格しました。1980年に東京大学法学部を卒業し、同大学の法学部助手としてキャリアをスタートさせました。その後、1983年に神戸大学法学部助[[教授]]、1987年にはコロンビア大学法科大学院客員教授を歴任しました。

1992年に東京大学法学部助[[教授]]として復帰し、1996年には東京大学大学院法学政治学研究科教授に就任しました。2015年から2018年までは日本刑法学会理事長を務め、2020年からは中央大学大学院法務研究科教授として教鞭を執っています。また、2020年には司法試験委員会委員長にも就任しました。

著作

佐伯は、刑法に関する多数の著作を執筆しており、その中には教科書や判例解説書、研究書などが含まれます。

主な著作は以下の通りです。

『刑法1（有斐閣アルマ）』（有斐閣）〔共著〕
『判例刑法総論・各論〔第6版〕』（有斐閣、2013年）〔共著〕
『理論刑法学の最前線』（岩波書店、2001年）〔共著〕
『理論刑法学の最前線Ⅱ』（岩波書店、2006年）〔共著〕
『刑法と民法の対話』（有斐閣、2001年）〔共著〕
『ケースブック経済刑法〔第3版〕』（有斐閣、2010年）〔共著〕
『注釈刑法　第1巻』（有斐閣、2010年）〔共編〕
『制裁論』（有斐閣、2009年）
『刑法総論の考え方・楽しみ方』（有斐閣、2013年）
『刑法事例演習教材〔第2版〕』（有斐閣、2014年）〔共著〕

論文

佐伯は、刑法学に関する多数の論文も発表しており、その研究成果は学術界で高く評価されています。

主な論文は以下の通りです。

「プライヴァシーと名誉の保護（1）～（4）」（『法学協会雑誌』101巻7、8、9、11号、1984年）
「被害者の錯誤について」（『神戸法学年報』1号、1985年）
「制裁」『現代の法4』（岩波書店、1998年）
「組織犯罪への実体法的対応」（『現代の法6』岩波書店、1998年）
"The Criminal Law System Facing the Challenge of Organized Crime", International Review of Penal Lawvol.60, No.1-2,1998
「少年の権利保障と付添人」（『ジュリスト』1152号、1999年）

著名な門下生

佐伯の門下生には、遠藤聡太などの著名な法学者がいます。

外部リンク

東京大学法学部・大学院法学政治学研究科
中央大学法務研究科　佐伯仁志プロフィール

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