佐伯秀喜

佐伯秀喜（さえき ひでき）は、1971年4月28日に東京都日野市で生まれた元プロ野球選手です。ポジションは内野手でした。

野球を始めたのは幼い頃からで、小学生時代は地元の日野東リトルに所属。中学に進むと硬式野球の強豪、調布シニアで腕を磨き、全日本選抜の一員としてアメリカ遠征も経験するなど、将来を嘱望される選手へと成長しました。

高校は国学院久我山高校に進学。野球部では主力選手として活躍し、2年生および3年生の夏には、チームを西東京大会のベスト4に導く貢献を見せました。高校通算では35本塁打を記録するなど、長打力も兼ね備えた攻撃的な内野手として注目を集めました。

高校卒業に際しては、大学への進学を強く希望しており、プロからの指名があった場合でも拒否する意向を示していました。しかし、1989年のプロ野球ドラフト会議で、西武ライオンズから5位という高い評価を受けて指名され、この指名を真摯に受け止め、プロの世界に足を踏み入れることを決断しました。

プロ野球選手としてのキャリアは、指名を受けた翌年、1990年に西武ライオンズで始まりました。プロ1年目の同年9月24日、西武ライオンズ球場で行われた対日本ハムファイターズ戦に途中出場し、これがプロデビュー戦となりました。そして、この試合の7回裏に巡ってきたプロ初打席で、日本ハムの投手・松浦宏明からセンター方向へ同点となる2点本塁打を放ち、鮮烈なプロ初安打、初打点、そして初本塁打を記録しました。これはプロ野球史上28人目となる「初打席初本塁打」という快挙であり、その名を広く知らしめる一打となりました。初先発出場は、その4日後の9月28日、川崎球場で行われた対ロッテオリオンズ戦で、9番・遊撃手としてスタメンに名を連ねました。

しかし、この輝かしいスタートにもかかわらず、その後はプロの世界で定着することに苦労しました。1991年シーズン以降は一度も一軍の公式戦に出場する機会を得られず、主に二軍での調整が続きました。現役時代には、入団時の背番号62番から、1991年からは30番、そして1996年からは67番と、背番号を変えながら一軍復帰を目指しましたが、残念ながらその願いは叶いませんでした。そして、1998年シーズンをもって現役を引退することを発表しました。

現役引退後は、野球とは一旦距離を置いていましたが、後進の指導に携わりたいという思いから、再び野球界への道を模索し始めます。学生野球の選手たちを指導するためには資格が必要であるため、2016年に学生野球資格回復研修を受講しました。そして、翌2017年2月7日に日本学生野球協会より学生野球資格回復の適性認定を受け、晴れて学生野球の指導者として活動できる資格を得ました。

資格回復後は、若い世代の育成に情熱を傾けています。2022年4月には、東京都内に新たに設立された多摩リトルシニアの監督に就任しました。アマチュア時代に全日本選抜を経験し、プロの世界で特別な記録を残した自身の豊富な経験を活かし、将来を担う少年野球選手たちの技術向上はもちろん、人間的な成長にも力を注いでいます。プロ初打席本塁打という記憶に残る一打の裏にある努力や、内野手としての守備の哲学など、自身の経験を伝えることで、多摩リトルシニアの選手たちを育てています。

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