佐川田昌俊

佐川田 昌俊（さがわだ まさとし）

佐川田昌俊は、安土桃山時代から江戸時代前期にかけて、武士として多くの業績を残した著名な人物です。出身地は下野国で、幼い頃より上杉景勝のもとで家臣としての教育を受けました。彼の人生は、武士としての戦闘経験と、家族を支える責任感に彩られています。

略歴

天正7年（1579年）に誕生した昌俊は、若い頃に上杉家の家臣としてサポートを行い、当時の武士の典型と言えるような教育を受けました。特に、上杉家の中で木戸玄斎の養子となり、政治や武術の指導を受けることができたのは、昌俊にとって大きな財産となったことでしょう。

時が経つにつれ、昌俊は関ヶ原の戦い（慶長5年、1600年）において西軍に属し、大津城での戦闘で負傷を経験します。この戦いによって彼の名は知られるようになりました。しかし、戦後はしばらく浪人として過ごすことになり、その後、徳川家の忠臣であった永井直勝に見出され、永井家に仕官することとなります。ただし、当時は無禄の状態であったため、経済的には厳しい生活を強いられました。

その後、大坂の陣では永井軍の指揮官として戦いに参加し、1616年には江戸に移ることになります。直勝の死後は、直勝の嫡男である尚政に仕官し、彼の信任を受けて家老として藩を支配する地位に就きました。昌俊は藩政の実務を主導し、特に藩士たちの生活向上に尽力しました。

準備は整い、寛永10年（1633年）には藩の転封に伴って山城淀に居を構え、興味深い事業として「淀の水車」を設けました。これは淀城内に給水する仕組みであり、昌俊の独創的なアイデアによるものです。寛永15年（1638年）には健康を害し、子である俊輔に家督を譲り隠居生活に入ります。この時期、洛南の一休寺の近くに庵を設け、精神的な修養に努めたようです。

昌俊の死は寛永20年（1643年）8月3日で、享年65でした。彼の墓は一休寺にあり、林羅山選の筆による大きな碑の傍に立つ自然石の墓石には「是何麼（これなんぞや）」との短い言葉が刻まれています。

人物像

昌俊は智恵と勇気を兼ね備えた名士であり、さまざまな文化にも精通していました。茶道では小堀遠州から学び、連歌では里村昌琢、書道では松花堂昭乗、漢学では林羅山、そして歌道では飛鳥井雅庸・近衛信尋から多くの影響を受けています。また、友人には石川丈山や木下長嘯子がいました。特に昌琢との関係は深く、連歌の名手として名を馳せた彼が、「連歌の第一人者は、東には昌俊、西には自分」と語ったエピソードは、その実力を物語っています。

さらに、昌俊は一休寺の庭園作りにも参加したとされ、自然美を愛したことが伺えます。彼が詠んだ和歌、「吉野山花咲くころの朝な朝な心にかかる峰の白雲」なども有名で、歌の秀逸さからも文化人としての顔が顕著です。著作には『松花堂上人行状記』があります。

昌俊は、藩政においても人々を助ける心を持つ一方で、藩士たちが厳しい状況にある際には、尚政に無断で藩の金蔵を開けて救済を行った逸話が伝わっています。このような彼の人間性は、子孫たちにも引き継がれ、永井家の重代家老として今日まで存続していることも、彼の功績の一つと言えるでしょう。

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