佐治儀助

佐治儀助の生涯と業績

佐治儀助（さじ ぎすけ、生年1844年6月30日 - 没年1917年7月26日）は、明治から大正時代にかけて愛知県名古屋市で活躍した実業家です。彼は大須旭廓にある「寿楼」の経営者であり、名古屋電灯の取締役や名古屋劇場常務取締役も歴任しました。

生い立ちと初期の活動

佐治は尾張国中島郡大里村（現在の愛知県稲沢市）で生まれました。彼の家族は商人であり、弘化元年（1844年）に生まれた彼は、佐治儀右衛門の長男として成長しました。明治2年（1869年）には分家して独立した生活を始めました。

旭廓と大火の影響

名古屋市大須の旭廓にある寿楼を経営する佐治は、1892年に発生した大須大火に巻き込まれました。この大火は、旭廓内の建物を焼失させ、彼にとって重大な転機となります。火災の原因は石油ランプであり、それを受けて旭廓では全ての石油ランプを撤去し、電灯の導入を決定しました。名古屋電灯に電力供給を申し込むも断られたことから、新たに愛知電灯の設立が促進され、佐治自身も1894年の創立総会で取締役に選出されることになりました。

愛知電灯と名古屋電灯への関与

愛知電灯は名古屋電灯に対抗する形で設立されましたが、1896年には名古屋電灯に吸収されました。この際、佐治は名古屋電灯の取締役に選ばれており、1910年には常務取締役に就任しましたが、これは短期間に終わりました。彼は後に名古屋電灯の取締役として、長野県の木曽川水利権獲得に尽力しました。

名古屋劇場との関わり

佐治は名古屋劇場株式会社にも関与しており、1904年には監査役に選ばれました。その後、1907年には取締役に昇進し、新社長に就任した磯貝浩の下で専務取締役を務めました。彼は1915年まで専務の職についていましたが、1916年に取締役を退くことになります。この頃、健康を害し療養を余儀なくされました。

晩年と功績

佐治は1916年に名古屋劇場の取締役から退任し、同年に糖尿病を発症しました。1917年7月26日に73歳で亡くなります。彼の死は名古屋電灯取締役在任中に訪れましたが、彼の功績は後世にも引き継がれています。木曽電気製鉄（後の大同電力）は、佐治の業績に感謝して銅像を建立しました。敵対する名古屋電灯との競争においても、彼の存在はよく知られています。

家族と親族

佐治儀助の長男、佐治栄太郎（1873年生）は、名古屋で庭石商を営み、さらに名古屋市会議員も務めました。栄太郎は、父が関与した名古屋劇場の取締役としても活躍していました。また、佐治の後妻、栄太郎から見て継母となる佐治くには岬国松の娘で、サントリー創業者・鳥井信治郎の次男を養子に迎えています。彼の家族の中にもビジネス界に貢献した者が多数いることがうかがえます。

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