佐竹昭広 (さたけ あきひろ) の業績と経歴
佐竹昭広は、
1927年に東京都に生まれ、
2008年に逝去した国文学者・
万葉学者です。彼は
京都大学名誉教授として広く知られ、日本の上代文学や
万葉集に関する研究で顕著な業績を残しました。また、彼は1994年に紫綬
褒章を受章し、学術界での貢献が認められました。
経歴の概要
佐竹は1946年に
短歌の「字余」についての論文を発表し、若干18歳で学術的な足跡を残しました。この論文では、
万葉集の
短歌にみられる共通の法則を明らかにしました。その後、彼は
京都大学文学部に進学し、1952年に卒業します。卒業後は、同大学に特別研究生として在籍し、学問を深化させました。
1957年からは
学習院大学で講師として教鞭を執り、その後助教授に昇進しました。1960年には母校の
京都大学文学部に移り、1973年には教授に昇格しました。1985年には定年退官し、名誉教授の称号を得ました。その後は
成城大学で教鞭を執り、さらに
国文学研究資料館の館長を1993年から1997年まで務めました。彼の学問の道のりは、日本の国文学研究に多大な影響を与えました。
受賞歴と功績
佐竹昭広の代表的な受賞歴として、1981年に『萬葉集抜書』で第3回
角川源義賞を受賞しました。そして、1994年には紫綬
褒章を受章し、国文学界における彼の地位は揺るぎないものとなりました。彼は国文学を専門にし、特に上代文学や中世における説話、滑稽文学の研究でも名を馳せています。
上代文法に関する研究
彼の研究は特に上代文学と文法に焦点を当てています。特に『
万葉集』に基づく語法や文法の分析が評価されています。彼は、「上代人の自己中心係数」という概念を提唱し、
万葉集に登場する「われ」の頻用が当時の人々の自己中心性を表していると論じました。また、上代の色彩語についても、当時の人々の思考や認識を考察する視点を持ち、多角的な研究を展開しました。
著書と学問の集大成
佐竹の業績は数多くの著作にまとめられています。『佐竹昭広集』(全5巻、
岩波書店、2009-2010年)では、彼の研究成果が網羅的に収録されています。また、彼は校注や編著も行い、専攻分野の深い知識を世に伝えました。
その影響は今も続き、学問の発展に影響を与え続けています。彼の研究を基にした分析や考察は、今日でも国文学の理解を深める重要な資料となっています。彼の業績は、国文学界における重要な礎となり、多くの後進たちへの道を開くものでした。佐竹昭広の存在は、今後も多くの研究者にとっての指針となることでしょう。