佐藤壮郎

佐藤壮郎

佐藤壮郎（さとう たけお、1938年10月9日 - ）は、日本の地球科学者であり、特に鉱床学を専門とする研究者です。また、元人事院総裁という経歴も持ち合わせています。理学博士。

生い立ちと学歴

1938年、佐藤壮郎は東京に生まれました。祖父は東京高等師範学校教授で地質学・鉱物学の分野で多くの著書を残した佐藤伝蔵、父は地質調査所で活躍した地質学者である佐藤源郎という、地質学一家に育ちました。1962年に東京大学理学部地学科を卒業後、同大学院数物系研究科地質学課程に進学し、1964年に同課程を修了しました。

研究者としてのキャリア

大学院修了後、佐藤は工業技術院地質調査所（現在の産業技術総合研究所地質調査総合センター）に入所し、鉱床部で研究活動を開始しました。1973年には、黒鉱鉱床の研究で東京大学から理学博士の学位を授与されました。博士論文の題目は「秋田県小坂鉱山内の岱鉱床の成因的研究 : 黒鉱々化作用の一モデル」でした。1975年から1976年にかけてはカナダへ留学、その後、国際協力事業団の派遣専門家としてメキシコのソノラ大学に滞在しました。

1978年から1981年まで、金属鉱業事業団（現在の石油天然ガス・金属鉱物資源機構）に広域調査課長として出向し、その後、1994年に地質調査所所長、1996年に工業技術院院長に就任しました。1999年に退官するまで、日本の地球科学研究の発展に貢献しました。

行政官としてのキャリア

2000年には人事官に就任し、2004年から2006年まで人事院総裁を務めました。行政官としても、その卓越した知識と経験を活かし、日本の人事行政に貢献しました。

鉱床学者としての業績

佐藤壮郎は、東京大学在学中に渡辺武男教授の指導を受け、秋田県北鹿地域の黒鉱鉱床の研究に取り組みました。この研究で、黒鉱鉱床が同生鉱床であることを立証することに貢献しました。さらに、海底面から熱水が噴出するモデルを提唱し、熱水の温度や塩濃度が鉱床形成に与える影響を詳細に検討しました。これにより、鉱床形成に最適な条件を明らかにし、鉱床学の発展に大きく寄与しました。

金属鉱業事業団出向中には、鹿児島県菱刈金鉱床の鉱脈の一部を捕捉し、ボーリング探査を指揮して大鉱床発見のきっかけを作りました。これらの業績が評価され、1997年に資源地質学会から加藤武夫賞が贈られました。

受賞・叙勲

長年の地球科学への貢献が認められ、2012年の秋の叙勲で瑞宝大綬章を受章しました。

著書・訳書

佐藤は研究活動だけでなく、著作活動にも精力的に取り組みました。

『宇宙・地球・人間（I・II）』（岩波現代選書）、プレストン・クラウド（著）、一国雅巳・佐藤壮郎・鎮西清高（訳）、1981年、岩波書店。

俳人としての活動

2006年頃から「佐藤たけを」の名で俳句を作り始めました。俳人協会会員、国際俳句交流協会会員として、俳句の世界でも活動しています。句集には以下のものがあります。

佐藤たけを：句集『鉱山神（やまがみ）』、本阿弥書店、2012年。

参考文献

梶原良道「加藤武夫賞　佐藤壮郎君　鉱床形成モデルの構築とその資源探査への応用」、『鉱山地質』、第47巻、165～166頁、1997年。
地学団体研究会編『新版　地学辞典』、492頁、「佐藤伝蔵」、平凡社、1996年。

関連項目

地球科学者
石油天然ガス・金属鉱物資源機構
人事官

外部リンク

nkysdb: 佐藤壮郎（なかよし論文データベース）
* nkysdb: SATO Takeo（なかよし論文データベース）

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