加藤武夫

加藤武夫（かとう たけお）

加藤武夫は、1883年10月14日に東京で生まれ、1949年4月23日に亡くなった日本の鉱床学者、地球科学者です。理学博士の学位を持ち、東京帝国大学の名誉教授、帝国学士院会員を務めました。劇作家の加藤道夫は息子、小説家の加藤幸子は孫にあたります。

生涯

神奈川県小田原市で役人の四男として生まれた加藤は、その後、山形の資産家の養子となりました。1907年に東京帝国大学地質学科を卒業後、1909年から1911年までフライベルク鉱山大学に留学しました。帰国後、明治専門学校の教授を1911年から1920年まで務め、その後、1920年に東京帝国大学の教授に就任し、1944年まで務めました。1943年には帝大理学部長に就任、1945年に名誉教授となりました。1924年には、柵原鉱床の研究で理学博士号を取得、1937年から1949年まで帝国学士院会員を務めました。また、1940年には華北政務委員会の嘱託を受け、北京大学理学院の名誉教授も兼任しました。

家族

加藤武夫の家族構成は以下の通りです。

実父：大芝直縄（役人）
養父：加藤謹吾（山形県米沢市の資産家）
妻：かつ（養父の長女、宮城高女卒）
長男：加藤静夫（農業昆虫学者、米沢出身、北海道帝国大学農学部卒業後、北京大学理学院教授、帰国後GHQ農業課技術顧問などを歴任）
二男：加藤正夫（住友石炭鉱業福祉課長、東大経済学部卒）
二女：ひて（上原之節の妻、聖心女子学院出身、上原は満州国奉天博物館員を経て東京芸術大学教授）
三女：登志（望月央の妻、成城高女出身、望月は石油資源開発社員）
三男：加藤道夫（劇作家）
四男：加藤義夫（日満鉱業社員、青山学院高商部卒）
孫：加藤幸子（静夫の長女、芥川賞作家）

業績

加藤武夫は、火山岩の研究から始まり、日本列島、朝鮮半島、中国東北部に分布する様々なタイプの鉱床を研究しました。地質構造の発展と鉱床の生成に関する研究は、日本の鉱床学の発展と体系化に大きく貢献しました。また、米国の学術雑誌「Economic Geology」の編集委員も務め、国際的にも著名な鉱床学者でした。資源地質学会では、彼の業績を記念し、鉱床学上の優れた研究成果を上げた会員に「加藤武夫賞」を贈っています。

著書

加藤武夫は、多くの著書を執筆しました。主な著書は以下の通りです。

『主要鑛物百五十種分類表』(1915年)
『鑛床地質學』(1917年)
『自然科學地質概論』(1931年)
『新編鑛床地質學』(1937年)
『鑛物界教科書参考書』（増訂版）(1937年)
『地學随筆』(1938年)
『地学図集 : 教授用』(1948年)

墓所

加藤武夫の墓所は、多磨霊園にあります。

参考文献

加藤武夫先生記念出版編集委員会編『鉱床学の進歩』(1956年)

関連項目

明治専門学校
加藤道夫
加藤幸子
地球科学者

外部リンク

20世紀日本人名事典『加藤 武夫』 - コトバンク
宮城磯治. “nkysdb: 加藤 武夫”. なかよし論文データベース. 産業技術総合研究所.
「加藤武夫」横断検索 - ジャパンサーチ(BETA)
加藤武夫 < 歴史が眠る多磨霊園

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