佐藤実 (アーティスト)

佐藤実（m/s）：現代美術を彩る多才なアーティスト

佐藤実（さとうみのる）、活動名m/sとして知られるアーティスト、キュレーターは、1963年宮城県仙台市に生まれました。現在は神奈川県鎌倉市を拠点に活動しています。

彼の活動は、アーティストとしての表現活動にとどまりません。1994年にはアーティスト活動のためのレーベルWrKを設立し、2006年まで運営。この活動は、現代美術シーンにおいて重要な役割を果たしたと考えられます。さらに、公立美術館学芸員としての経験も豊富で、1991年から2011年まで川崎市市民ミュージアム、2011年から2013年まではせんだいメディアテークに勤務していました。これらの経験を通して、美術作品だけでなく、美術館という空間や、作品を取り巻く環境に対する深い理解を培ったと言えるでしょう。

2020年時点では、和光大学芸術学科で非常勤講師として後進の育成にも力を注いでいます。講義内容には、アメリカの作曲家アルヴィン・ルシエの作品研究が含まれており、彼の専門性の高さを示しています。また、芸術に関する講演会なども開催し、現代美術の普及にも貢献しています。さらに、コミュニティFM「渋谷のラジオ」では、写真家の平間至氏と共に音楽番組のパーソナリティも務めるなど、多岐にわたる活動を通して現代美術の裾野を広げる努力を続けています。

佐藤氏の活動における大きな柱の一つに、企画展の開催があります。川崎市市民ミュージアムでは、数多くの企画展を手がけました。代表的な企画展としては、2000年の「偶然の振れ幅　その出来事の地平」では、ヒム・ヴォルシャイト、チャーリー・シュタイガーなど国内外の著名なアーティストを招き、多様な表現手法による現代美術の潮流を紹介しました。2005年の「WRITING line and LIGHTING line：筆跡と光跡」、2006年の「眩暈の装置:松本俊夫をめぐるインターメディアの鉱脈」、2008年の「映像の創出」など、それぞれのテーマに沿って現代美術の多様な側面を深く掘り下げた企画展は高い評価を得ました。

また、m/s名義での企画展も注目に値します。2007年の「OFF STRIPES 縞模様の繊細なる瞬き」展では、ヨーゼフ・アルバース、粟津潔、ジャスパー・ジョーンズといった巨匠から現代アーティストまで幅広い作家を招集し、縞模様というテーマを通して、美術史における多様な表現方法と現代美術の接点を提示しました。

これらの活動を通して、佐藤実はアーティスト、キュレーター、教育者、そしてラジオパーソナリティという複数の顔を持ち、現代美術の世界に多大な貢献を果たしています。彼の活動は、単なる作品制作にとどまらず、美術館運営、教育、メディア活動など多様な側面から現代美術を支え、発展させていると言えるでしょう。彼の今後の活動にも注目が集まります。

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