佐藤貫一

佐藤貫一（さとう かんいち）は、1907年4月13日に山形県鶴岡市で生まれ、1978年2月26日に70歳で生涯を閉じた、日本の著名な刀剣学者です。号を寒山と称し、その卓越した研究業績から、日本刀研究の第一人者として広く知られています。

特に新刀の研究において傑出した業績を上げ、古刀研究で名高い本間薫山と並び「両山」と称されるほど、その分野での貢献は多大なものでした。日本美術刀剣保存協会では常務理事を務め、刀剣博物館の副館長としてもその運営に尽力しました。

佐藤貫一は、その学識と見識の高さから、数々の栄誉にも輝いています。従四位、勲三等瑞宝章を授与され、國學院大學からは文学博士の学位を授与されました。また、剣道においても教士七段の腕前を持つ、文武両道の人でした。

生涯

1907年、佐藤貫一は佐藤久平の息子として誕生しました。1925年に鶴岡中学校を卒業後、國學院大學に進学し国文学科を修了しました。在学中は剣道部の主将を務めるなど、学業と武道の両面で優れた才能を発揮しました。

卒業後は教職に就き、秋田中学校や東京府立第四中学校、東京府立第一中学校で教鞭を執りました。その後、文部省国宝調査室嘱託、東京国立博物館勤務を経て、1960年に「御紋康継の研究」で文学博士号を取得しました。1969年に東京国立博物館を退官後は、日本美術刀剣保存協会の事務局長と刀剣博物館副館長を兼任し、刀剣文化の保存と普及に力を注ぎました。

1978年2月26日、70歳で逝去。戒名は「秀能院殿寒山悟道居士」。墓所は故郷である山形県鶴岡市にあります。

叙位・叙勲

佐藤貫一は、その功績を称えられ、数々の栄誉を授与されています。

1977年5月2日 - 勲三等瑞宝章
1978年2月26日 - 従四位
1978年3月17日 - 特旨を以て位記を追賜

親族

佐藤貫一の親族には、学術・芸術分野で活躍する人物が多くいます。

従兄：土屋竹雨（漢詩人）
長男：佐藤純一（東京大学名誉教授、スラブ言語学者）
次男：佐藤純彌（映画監督）
孫：佐藤東弥（日本テレビ・ディレクター）
孫：佐藤信行（中央大学教授、公法、英米法、カナダ法学者）

弟子

佐藤貫一は、多くの刀剣研究者を育成しました。

氏家彦太郎（刀剣鑑定家、（株）松ヶ岡製作所社長、致道博物館理事）
小笠原信夫（刀剣学者、東京国立博物館刀剣室長など）

佐藤貫一の学術的な功績は、今日においても高く評価されており、日本の刀剣文化の発展に大きく貢献した人物として、その名が語り継がれています。

参考文献

『庄内人名辞典』 大瀬欽哉（代表編者） 致道博物館内「庄内人名辞典刊行会」（発行）
『官報』1977年05月02日 号外 29 叙位・叙勲
* 『官報』1978年03月22日 本紙 15354 叙位・叙勲

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