余野川ダム

余野川ダムの概要

余野川ダム（よのがわダム）は、大阪府箕面市にて計画されていた特定多目的ダムで、淀川水系の余野川に位置します。1980年から国土交通省近畿地方整備局の主導により、洪水調節や水源供給を目的に建設が進められていました。しかし、公共事業の見直しが進む中、2005年に中止が求められ、最終的には2008年に事業が凍結される結末を迎えました。

背景と沿革

余野川ダムは、戦前からの「猪名川河水統制事業」に関連して計画され、猪名川の洪水リスクを軽減するために設計されました。しかし、1941年の戦争による中止を経て、昭和30年代以降は人口増加が続く地域における水の需要が高まり、治水対策が急務とされました。

1庫ダムの建設は1983年に終わりましたが、大阪市のベッドタウンである猪名川流域は依然として洪水の危険が増していきました。このため、ダムによる治水対策の必要性が高まったのです。最終的には、余野川が注目され、1980年から本格的に設計が進められることとなりました。

ダムの目的

余野川ダムは、重力式コンクリートダムとして、高さ79メートルの設計がされました。主な機能として、以下の三つが挙げられます。

1. 洪水調節：ダム地点から淀川への流入をコントロールし、下流域の洪水被害を軽減することを目的としていました。
2. 水質浄化：猪名川の水質汚濁を改善するため、ダムから導水を行い、清浄な水を下流へ放流する方法が試みられる予定でした。
3. 上水道の供給：大阪市や周辺自治体に対して、一日あたり10万トンの水道用水を供給する計画も立てられていました。

ダム事業の中止

しかし、2005年には国土交通省の淀川水系流域委員会が余野川ダムを含む事業について建設中止を勧告しました。これは、公共事業の見直しに伴うもので、地元の強い反発がありましたが、最終的には国土交通省が凍結を決定しました。2008年には予算取り下げが発表され、事業は正式に中止される運びとなりました。これにより、長い間計画されていた余野川ダムの建設は終了しました。

その後の影響

建設が中止された後、長い年月をかけて計画されていた余野川ダムは、河川法に関連した手続きに従って、工事の原状復帰作業が行われることとなります。日本のダムプロジェクトにおいて、余野川ダムは、建設中止となった数少ない事例の一つとなりました。隣接するさまざまな地域における治水対策の在り方が問われる中、余野川ダムの計画は新たな局面を迎えました。

結論

余野川ダムは地域の治水や水質改善、そして上水道供給を目指した重要なプロジェクトでしたが、結果としては中止に至りました。ダムの計画を通じて、地域の水管理の重要性や、公共事業の見直しの必要性が鮮明になったと言えるでしょう。今後は、この経験を踏まえた新たな水管理の戦略が求められるでしょう。

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