余韻 (来生たかおのアルバム)

来生たかおの23枚目のオリジナルアルバム『余韻』は、2008年にリリースされました。本作は、来生たかおが昭和の名曲に敬意を表し、初めてカバー曲に挑戦した意欲作です。

アルバム制作のきっかけは、前作『avantage』を最後にしようかと考えていた来生に、関係者からアルバム制作の誘いがあったことでした。当初、全曲書き下ろしに自信が持てなかった来生でしたが、自身のコンサートで披露した「雨に咲く花」のカバーが好評だったことから、カバーアルバムのアイデアが浮上。最終的には、オリジナル7曲とカバー6曲という構成に落ち着きました。

カバー曲は、来生自身がソングライターとして感銘を受けた楽曲や、幼少期から親しんでいた楽曲の中から、歌詞よりもメロディーの良さを重視して厳選されています。編曲は、矢倉銀（来生たかおの編曲時のペンネーム）と渡辺俊幸が担当。渡辺俊幸は、来生がNHKスペシャル『にっぽん家族の肖像』のテーマソングに感銘を受け、自ら依頼したとのことです。

ブックレットには、来生自身による各カバー曲の解説が掲載されており、楽曲への深い愛情が感じられます。また、ブックレットの題字・イラストは、姉である来生えつこが手掛けています。アルバムタイトルには、聴き終えた後に小津安二郎の作品のような余韻が残るように、という願いが込められています。

収録曲は以下の通りです。

1. リフレイン
2. バルコニーへ
3. 夏の迷宮
4. クレーター
5. 春の窓
6. 渦
7. 思い出時計
8. 今日でお別れ
9. あいつ
10. ギターをひこう
11. 雨に咲く花
12. 爪
13. 二人の世界

参加ミュージシャンには、倉田信雄（Piano）、古川望（Electric Guitar）、田代耕一郎（Acoustic Guitar）、渡辺直樹（Electric Bass）、渡嘉敷祐一（Drums）、川瀬正人（Percussion）らが名を連ねています。

『余韻』は、来生たかおの新たな一面を垣間見ることができる、聴きごたえのあるアルバムです。昭和歌謡の魅力を再発見するとともに、来生たかおの音楽的なルーツを感じることができるでしょう。

もう一度検索