作業研究

作業研究（Work Study）とは

作業研究（Work Study）とは、作業測定と方法研究という二つの主要な手法を統合的に用いることで、生産システムの効率化と生産性向上を目指す活動の総称です。このアプローチは、単に作業時間を計測するだけでなく、作業プロセスそのものを分析し、改善点を見つけ出すことを目的としています。

作業研究の構成要素

作業研究は、以下の二つの要素から成り立っています。

1. 作業測定（Work Measurement）：
作業にかかる時間を計測し、標準時間を設定します。
これによって、作業の効率性やボトルネックを定量的に把握することができます。
狭義の作業測定は、時間研究とも呼ばれます。

2. 方法研究（Method Study）：
作業の手順や方法を分析し、より効率的なやり方を検討します。
無駄な動作や非効率な手順を排除し、作業の質を向上させます。
方法研究は、動作研究とも呼ばれることがあります。

これらの要素を組み合わせることで、作業時間と作業方法の両面から改善を図り、投入資源（人、物、設備、情報など）を最大限に活用することを目指します。

メソッドエンジニアリングとの関係

作業研究は、狭義のメソッドエンジニアリング（Method Engineering）とほぼ同義です。メソッドエンジニアリングは、作業測定と方法研究を統合的に活用し、作業効率の向上と生産性向上を目指す手法です。また、オールドIE（Industrial Engineering：産業工学）と呼ばれることもあります。これは、産業工学の初期段階における中心的なテーマであったことを示しています。

一方、広義のメソッドエンジニアリングは、作業測定、方法研究、作業研究、方法設計など、より広範なエンジニアリングアプローチを包含します。

作業研究の歴史

作業研究の歴史は、20世紀初頭に遡ります。1930年頃、A. H. Mogensen が作業の単純化を提唱し、それまでの作業測定、方法研究との相乗効果によって、生産現場の作業改善が急速に進展しました。また、同時期に、Harold B. Maynard が時間研究と動作研究を結合したメソッドエンジニアリングを提唱し、作業研究の手法を体系化しました。これらの先駆的な取り組みが、今日の作業研究の基礎となっています。

作業研究の応用

作業研究は、製造業だけでなく、サービス業や事務作業など、様々な分野で応用されています。例えば、

製造ラインにおける作業効率の改善
事務作業における効率的な手順の確立
サービス業における顧客対応の効率化

などに活用されています。作業研究は、生産性向上だけでなく、従業員の負担軽減や安全性の向上にも貢献します。

作業研究の関連概念

サーブリッグ：作業を構成する基本要素（動作）を分析・分類するための概念。
* 科学的管理法：フレデリック・テイラーが提唱した、科学的な方法で作業を管理する手法。作業研究は、科学的管理法を構成する重要な要素の一つです。

作業研究のまとめ

作業研究は、作業を科学的に分析し、改善を行うことで、生産性向上と資源の有効活用を目指す重要な手法です。作業測定と方法研究を組み合わせることで、より効果的な改善策を見出すことができます。現代の生産管理において、作業研究は欠かせない要素となっています。

もう一度検索