使徒信条
使徒信条とは
使徒信条は、キリスト教の西方教会（カトリック教会、聖公会、プロテスタント）で用いられる基本的な信仰告白の一つです。使徒信経とも呼ばれ、ラテン語の冒頭の語から「クレド」とも称されます。この信条は、東方教会では使用されず、東西両教会で広く用いられるのはニカイア信条です。
歴史的背景
使徒信条は、2世紀後半のローマ教会の洗礼式で用いられていた「ローマ信条」を基に成立しました。古くから公同の信条として尊重され、使徒たちの信仰をまとめたものとされています。伝説では、十二使徒がそれぞれ異なる節を書いたとも言われていますが、確証はありません。
信条の内容
使徒信条の原文はラテン語で書かれており、日本語訳は教派や時代によって異なります。カトリック教会、聖公会、プロテスタントの各教派でそれぞれ異なる訳が用いられています。
カトリック教会
カトリック教会では、洗礼式で一人称の平叙文を二人称の疑問文に変形したものが使用されます。
聖公会
聖公会でも独自の訳が用いられています。
プロテスタント
プロテスタントでも複数の訳が存在し、教会や教団によって採用されるものが異なります。日本基督教団の『讃美歌』と日本福音連盟の『聖歌』では、「生ける者と死ねる者とを審きたまわん」と「生ける者と死にたる者とを審きたまわん」というように、表記が異なります。福音派系の教会では、この部分の表記が教会によって異なることがあります。
救世軍では、使徒信条にメソジスト派の教理を加えた「救世軍教理」を礼拝ごとに唱えます。
内容の詳細
三位一体
使徒信条は、三位一体の教義を明確に示しています。父なる神、子なるイエス・キリスト、聖霊という三つの位格を告白する点で、三位一体を信じる教派にとっては非常に重要な信条です。宇田進は、使徒信条の重点がイエス・キリストにあると述べています。
陰府降下（地獄降下）
使徒信条には、キリストが陰府（地獄）に降ったという記述があります。初期の使徒信条にはなかったこの記述は、4世紀になって追加されました。ラテン語の「インフェロス」は、冥界を意味し、後に地獄と同一視されるようになりました。
聖書には「彼はハデス（よみ）に捨てて置かれず」とありますが、西洋ではハデスを地獄と解釈する傾向がありました。英国国教会や一部の米国教会では、「主は死者の所へくだり」と訳され、「地獄」という語は避けられています。日本では、カトリックとプロテスタントの多くが「主はよみにくだり」と訳しています。
キリストの陰府降下については、西方教会では象徴的に解釈される傾向があり、実際の出来事として捉えられないこともあります。正教会では、キリストの陰府降下は復活と結びつけられ、信仰の重要な要素となっています。
その他の解釈
プロテスタントの中には、使徒信条を異教との区別を示すものにすぎず、他の教派に対する優位性を示すものではないとする解釈もあります。
参照項目
参考文献
外部リンク
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