東方教会

東方教会について



東方教会とは、主に中東、ギリシャ、アナトリア、東ヨーロッパに広がるキリスト教の諸派を指します。この教会は、正教会（特にギリシャ正教）及びその他の東方諸教会を含む幅広い概念です。一般的には、西方教会と対比される形で、東方正教会と東方諸教会に大別されることが多いです。

歴史



ローマ帝国の分割と初期の分離


東方教会の歴史は、395年のローマ帝国の東西分割にさかのぼります。この後、431年のエフェソス公会議では、ネストリウス派が異端とされ、その後彼らは東ローマ帝国から離脱し、サーサーン朝ペルシアに避難しました。451年のカルケドン公会議では単性説が異端扱いされ、この教義を支持する人々は東ローマ帝国の教会から分離し、非カルケドン派正教会を形成しました。476年には西ローマ帝国が崩壊し、教会の動向はさらに複雑化しました。

教会の分裂


692年にはトゥルーリ教会会議において、西方教会が出席を拒否し、その結果、様々な慣行が批判されました。そして867年、フィリオクェ問題を巡ってローマ教皇はコンスタンティノープルの総主教庁から破門され、1054年には両教会の相互破門が行われ、東西教会の分裂が決定的となりました。

その後、1180年に十字軍によってマロン典礼カトリック教会が成立し、1449年にはフィレンツェ公会議で東西教会の合同が試みられたものの達成されませんでした。1552年には、ネストリウス派からアッシリア東方教会が離脱し、さらに1596年にはウクライナ東方カトリック教会が設立されました。

信徒数



広義の東方教会には多くの教会が含まれており、2013年時点で、約23億人のキリスト教徒が存在し、その中の約3億人が正教会に属しています。

正教会の主要教会



これらは、独立した正教会や自治正教会、準自治正教会の連合から構成されています。

非カルケドン派正教会


非カルケドン派は、カルケドン公会議の判断に異を唱え、第3回までの全地公会議を認める教会です。代表的なものにはアルメニア使徒教会、コプト正教会、シリア正教会、エチオピア正教会、インド正教会などがあります。

ネストリウス派


ネストリウス派は、第2回までの公会議を受け入れていますが、第3回のエフェソス公会議で異端とされて独立しました。代表的な教会にはアッシリア東方教会やトマス派などがあります。

教義



東方教会の教義は多岐にわたりますが、聖母マリアの呼称に関する議論が有名です。特に「神の母」と「キリストの母」という二つの呼称が問題とされ、ネストリウスは後者を支持しました。また、イエス・キリストの神性と人性についても様々な解釈があります。これらの教義の解釈は、各教会ごとに異なるため、東方教会内でも意見が分かれることが多いです。

このように、東方教会はその豊かな歴史と多様な信徒を持ち、多くの教義的対立を抱えつつも、キリスト教の重要な一翼を担っています。

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。