依頼人 (1977年のテレビドラマ)

ドラマ『依頼人』の概要

『依頼人』（いらいにん）は、1977年10月29日に放送されたNHKの土曜ドラマで、日本の著名な作家、松本清張の原作を基にしています。主演には太地喜和子が起用され、視聴率は19.3%に達しました。この作品は、相続問題や弁護士のあり方をテーマにしており、登場人物たちの心理的葛藤がドラマの魅力を高めています。

あらすじ

物語は美容室を経営する佐伯伊佐子と彼女の妹、律子の視点から始まります。彼女たちは、愛人であった会社会長の突然の死により、思いもよらない相続問題に直面します。相続の過程で、その土地を奪われる危機に直面した伊佐子は、顧問弁護士の沼田に助けを求めます。しかし、沼田は彼女の信頼を裏切る下心を隠し持っており、徐々に伊佐子を追い詰めていきます。彼女は新たに若手弁護士、河村に相談しますが、弁護士界の壁にぶつかり、彼もまた敗北を喫します。伊佐子はそれによって絶望の淵に追いやられ、物語は緊迫した展開を迎えます。

キャストとスタッフ

この作品には多くのキャストが登場し、それぞれの役割が物語に厚みを加えています。主要なキャストには、- 佐伯伊佐子役の太地喜和子、- 沼田弁護士役の小沢栄太郎、- 佐伯律子役の二木てるみなどが名を連ねています。また、若手弁護士の河村役には沖雅也が起用され、彼の演技が物語の中で重要な役割を果たします。

スタッフ陣も豪華で、脚本は山内久が手掛け、演出を高野喜世志が行っています。音楽は加古隆が担当し、ドラマ全体に緊張感と深みを与える役割を果たしています。美術や技術、効果に至るまで多くの専門家が力を合わせ、素晴らしい作品に仕上がっています。

原作の背景

本ドラマは、松本清張が未作品化の腹案をもとに制作されました。清張は、この作品の内容を後に「折々のおぼえがき」で記しています。原作となるのは、実際にあった事件を基にしたストーリーであり、特定の人物の手紙が資料として元になっています。地主に立ち退きを迫られた杉野由利子という女性が、弁護士の助けを借りながら紛争を解決しようと奮闘する姿が描かれています。残念ながら、杉野は弁護士からの不適切な申し出や不正な報酬について苦しむことになります。このようなリアルな社会問題がドラマを通じて映し出されており、視聴者に深い印象を与えます。

まとめ

『依頼人』は、相続問題と弁護士の道徳的ジレンマを繊細に描いた作品で、視聴者に強いメッセージを届けるドラマです。松本清張の卓越したストーリーテリングと、出演者の力強い演技が相まって、この作品は今なお多くの人々に記憶され、評価されています。

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