保坂健二朗

保坂健二郎：現代美術から建築、詩へと繋がるキュレーターの軌跡

保坂健二郎氏は、1976年生まれの日本のキュレーターです。現在、滋賀県立美術館ディレクターとして活躍する傍ら、京都を拠点に活動しています。東京国立近代美術館での長年にわたる勤務経験、そして幅広い専門知識と企画力によって、国内外の美術シーンに大きな影響を与え続けています。

学術的基盤と国際的な視野

保坂氏のキャリアは、堅実な学術的基盤の上に築かれています。茨城県に生まれ、東京都で育ち、慶應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻を卒業、さらに同大学大学院文学研究科哲学専攻美学美術史学分野修士課程を修了しています。大学時代には前田富士男研究会に所属し、美術史研究の基礎を固めました。こうした背景は、氏のキュレーション活動に深みと知性を加えています。

2000年から2020年までの20年間、東京国立近代美術館に勤務。その間、国内のみならず、ハウス・コンストルクティヴ美術館など海外の美術館との連携による企画展も数多く手掛けてきました。この経験は、国際的な視点とネットワークを構築する上で大きな役割を果たしたと言えるでしょう。

多様な企画展：建築、現代美術、詩の融合

保坂氏が手がけた企画展は、現代美術にとどまらず、建築、詩といった多様な分野に広がっています。その企画には、常に独自の視点と深い洞察が感じられます。

代表的な企画展として以下のものがあげられます。

「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」 (2021): 著名な建築家、隈研吾氏の作品世界を紹介した展覧会。
「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」 (2017): 戦後日本の建築と生活様式を多角的に考察した展覧会。
「声ノマ 全身詩人、吉増剛造展」 (2016): 詩人、吉増剛造氏の作品世界を多様な表現手法で紹介した展覧会。
「Logical Emotion：Contemporary Art from Japan」(2014): 現代日本のアートシーンを世界に発信した展覧会。
「フランシス・ベーコン展」 (2013): 巨匠ベーコンの作品世界を深く掘り下げた展覧会。
「エモーショナル・ドローイング」 (2008): ドローイングという表現技法の多様性と奥深さを示した展覧会。
* 「建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳」 (2008): 二人の建築家の作品を通して、建築創造のプロセスに迫った展覧会。

これらの企画展は、いずれも高い評価を受け、多くの来場者を集めました。単に作品を展示するだけでなく、それぞれの分野の背景や歴史、社会との関わりを深く考察することで、観る者に新たな視点と感動を与えています。

著作活動：専門知識の共有

キュレーターとしての活動に加え、保坂氏は『アール・ブリュットアート 日本』（監修、平凡社、2013）などの著作も残しています。これらの著作は、専門的な知識を一般の人にも分かりやすく伝え、美術や文化への理解を深める上で貴重な役割を果たしています。

まとめ

保坂健二郎氏は、学術的なバックグラウンドと国際的な視野、そして多様な分野への深い造詣を活かし、日本の美術文化の発展に大きく貢献しています。氏の今後の活動からも目が離せません。 Twitterアカウント(@kenjirohosaka)からも、氏の活動に関する情報を得ることができます。

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