滋賀県立美術館

滋賀県立美術館：近現代美術と豊かな自然が調和する空間

滋賀県立美術館は、琵琶湖文化公園という自然豊かな環境に抱かれた美術館です。1984年、滋賀県立近代美術館として開館以来、近現代美術の収集・展示を精力的に行ってきました。2017年から2021年にかけて大規模な改修工事を経て、2021年6月27日、「滋賀県立美術館」としてリニューアルオープンしました。

美術館の変遷と新たな姿

開館当初から、近代日本画、郷土にゆかりのある美術作品、戦後アメリカの現代美術、そしてアール・ブリュットなど、多様なジャンルの作品を展示してきました。特に、アレキサンダー・カルダーが制作した巨大なフラミンゴの試作品（マケット）が中庭に展示されていることは、美術館の象徴的な存在となっています。

2012年には、既存館の改修と新館建設による「新生美術館」構想が打ち出されました。この構想は、仏教美術やアール・ブリュットの収蔵・展示を拡充し、「美の滋賀」拠点施設を目指すものでした。著名な建築家チームSANAAによる設計案も選定されましたが、建設費の高騰などを理由に計画は凍結。最終的には、既存館の改修によるリニューアルオープンという形になりました。

リニューアルされた美術館は、エントランス周辺が「ウェルカムゾーン」として整備され、ショップ＆カフェやキッズスペースが設置されました。洗練された空間デザインは、クリエイティブユニットgrafとUMA/design farmによるものです。これらの充実した設備により、より多くの人が気軽に足を運び、アートに触れられる環境が整いました。

充実したコレクション

美術館の収蔵品は、近代日本画の巨匠たちの作品を数多く擁しています。下村観山、菱田春草、速水御舟といった日本画壇を代表する画家たちの作品に加え、小倉遊亀による繊細なタッチの作品も多数所蔵されています。

また、西洋近代・現代美術においても、アンリ・マティス、マーク・ロスコ、アンディ・ウォーホル、サム・フランシス、フランク・ステラ、パブロ・ピカソ、ジャスパー・ジョーンズといった、世界的に著名なアーティストの作品を収蔵しています。これらの作品は、日本美術と西洋美術の豊かな対比を見せるコレクションとなっています。さらに、現代日本の作家である澤田真一や古久保憲満の作品など、現代美術の動向も反映したコレクションも充実しています。

室町時代の「近江名所図」（国の重要文化財）など、滋賀ゆかりの作品も展示されており、地域の歴史と文化を伝える役割も担っています。

施設概要

美術館は、常設展示室2室、企画展示室、ギャラリー、ラボ、木のホール、ポップアップギャラリー、ミュージアムショップ＆カフェ、レストランなど、多様な空間で構成されています。それぞれの空間が、アート鑑賞や交流の場として活用されています。

アクセス

JR琵琶湖線瀬田駅から帝産湖南交通バスでアクセス可能です。また、新名神高速道路草津田上ICからも比較的容易にアクセスできます。

まとめ

滋賀県立美術館は、自然豊かな環境の中で、質の高い美術作品を鑑賞できる場所です。リニューアルによって、より快適で魅力的な空間となり、多くの人々に開かれた美術館として、地域文化の発展に貢献しています。近現代美術に興味がある方、琵琶湖周辺を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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