保坂猛

保坂猛：建築家としての歩みと創造性

保坂猛氏は1975年生まれの建築家で、保坂猛建築都市設計事務所の主宰を務めています。幼少期から建物や街並みに強い関心を抱き、改善点を考える習慣があったといいます。中学生時代には映画『トップガン』の影響から戦闘機パイロットを志し、防衛大学校に入校するも、受験勉強による視力低下により断念。その後、横浜国立大学工学部に進学し建築を専攻します。

大学時代には軽音楽部やジャズ研究会でドラム演奏に打ち込みながらも、建築への情熱を育んでいきます。2年次の秋学期、非常勤講師であった建築家・坂茂氏の授業で「9スクエアグリッド」の設計課題に取り組み、その衝撃的な体験が、建築家としての道を決める転機となりました。山田弘康氏、北山恒氏、飯田善彦氏、野田俊太郎氏、野沢正光氏といった著名な建築家から指導を受け、卒業設計では「ROJI KOUEN」という作品を発表。横須賀市の米軍基地周辺の公園を新たな公共空間として再構築する斬新なアイデアで注目を集めました。

卒業後は、同級生である西田司氏と共に「建築設計SPEED STUDIO」を結成し、共同で設計活動を開始。横浜国立大学大学院へ進学しながら、西田邸や葉山の別荘などの設計プロジェクトに携わり、建築界にデビューを果たします。大学院では西沢立衛氏、團紀彦氏からも薫陶を受け、「ジュゼッペ・テラーニのカサ・デル・ファッショについて」というテーマで修士論文を執筆。2001年に修士課程を修了しました。

設計活動

SPEED STUDIO時代には、山梨県甲府市の保坂邸をはじめ、アパートメント、住宅、店舗など多様な建築物を手がけました。2003年にユニットを解散した後、2004年に保坂猛建築都市設計事務所を設立。横浜で活動した後、2016年には新宿に移転し、現在に至ります。

横浜時代には、自邸であるLOVE HOUSEや屋内と屋外の家、アクリルの家、湘南キリスト教会教会堂など、多くの注目作品を発表。新宿移転後も、2件目の自邸LOVE2 HOUSE、鎌倉雪ノ下教会墓地、SEESAW COFFEE（上海）、バルコニーハウスなど、個性豊かな建築物を手がけ続けています。近年では、いすみの別荘（45mの護岸のようなRC壁、キャンプフィールドを備えた別荘）や、既存の墓地を改修した鎌倉雪ノ下教会墓地なども設計しています。

教育活動

設計活動と並行して、保坂氏は精力的に教育活動にも取り組んでいます。国士舘大学、法政大学、横浜国立大学、東京理科大学、工学院大学、早稲田大学など、多くの大学で非常勤講師や准教授を務めており、後進の育成に貢献しています。

受賞歴

保坂氏の作品は数々の賞を受賞しており、その高いデザイン性と建築技術が評価されています。主な受賞歴には、日本建築学会作品選奨、グッドデザイン賞、JIA神奈川デザインアワード、JIA東海住宅建築賞、AICA施工例コンテスト優秀賞、日本建築学会関東支部神奈川支所賞、JIA新人賞、日本建築仕上学会賞、イギリスAR House Awardなどがあります。

その他の活動

講演会やワークショップ、コンペへの参加、審査員としての活動など、建築界への貢献は多岐にわたります。メディア出演や雑誌への掲載も多数あり、その活動は国内外に広がりを見せています。

まとめ

保坂猛氏は、建築家として、教育者として、そして社会貢献者として、多方面で活躍する稀有な存在です。その独創的なデザインと、建築への情熱、そして教育への貢献は、日本の建築界に大きな影響を与え続けています。彼の今後の活動にも、大きな期待が寄せられています。

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