保定府

保定府は、中国にかつて存在した地方行政区画であり、その歴史は金の時代にまで遡ります。明代から民国初年にかけて、現在の河北省保定市一帯に設置され、その変遷は中国の歴史と深く関わっています。

保定府の歴史

金の時代：順天軍の設置

1129年（天会7年）、金の宗輔によって、清苑県に順天軍が設置されました。これが、後の保定府の起源となります。

モンゴル帝国時代：順天路から保定路へ

1239年、モンゴル帝国によって順天軍は順天路と改められました。さらに1275年（至元12年）には、順天路は保定路と改称されました。この保定路は中書省に属し、録事司が置かれ、清苑・満城・唐・慶都・行唐・曲陽・新安・博野の8県、易州に属する易・淶水・定興の3県、祁州に属する蒲陰・深沢・束鹿の3県、雄州に属する帰信・容城・新城の3県、安州に属する葛城・高陽の2県、そして遂州・安粛州・完州を管轄しました。合わせて、1司8県7州と州領の11県を支配する広大な地域でした。

明代：保定府の成立

1368年（洪武元年）、明朝によって保定路は保定府と改められました。保定府は北直隷に属し、直轄の清苑・満城・安粛・定興・新城・雄・容城・唐・慶都・博野・蠡・完の12県、祁州に属する深沢・束鹿の2県、安州に属する高陽・新安の2県、そして易州に属する淶水県を管轄しました。合計3州17県を擁する重要な府となりました。

清代：直隷省への所属

清代には、保定府は直隷省に属しました。管轄地域は、清苑・満城・安粛・定興・新城・雄・容城・唐・望都・博野・蠡・完・束鹿・高陽の14県と、祁州・安州の2州となりました。この時期、保定府は直隷省の中でも重要な行政拠点の一つとして機能しました。

中華民国時代：保定府の廃止

1913年、中華民国が成立すると、保定府は廃止されました。これにより、保定府という行政区画は、その歴史に幕を閉じました。

保定府の変遷まとめ

保定府は、金の時代の順天軍から始まり、モンゴル帝国、明、清、そして中華民国へと時代が移り変わる中で、その名称、管轄地域、所属が変化しました。この変遷は、中国の歴史における地方行政制度の変化を反映しており、保定府の歴史を追うことは、中国の歴史を理解する上で重要な要素となります。

保定府は、その存在を通して、地域の文化や経済、そして人々の生活に大きな影響を与えました。その歴史は、今日の保定市とその周辺地域の文化的な背景を形成する上で、重要な役割を果たしています。

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