保田町

保田町（ほたまち）

保田町は、かつて千葉県安房郡に存在した自治体です。現在の地理でいうと、千葉県安房郡鋸南町の北部に位置する地域に相当します。この町は、1959年（昭和34年）3月30日に勝山町との合併により廃止され、新たに誕生した鋸南町の一部となりました。しかし、その名称は現在の内房線保田駅や、合併後に旧本郷村の一部が大字保田と改められたこと、そして鋸南町立保田小学校などの形で今に引き継がれています。

沿革

保田村としての歴史は、1889年（明治22年）4月1日の町村制施行に始まります。この時、平郡に属していた吉浜村、大帷子村、大六村、本郷村、元名村、江月村、小保田村、市井原村、横根村の九つの村が合併し、平郡保田村が誕生しました。その後、村は発展を遂げ、1897年（明治30年）1月27日には町制が施行されて保田町となります。さらに同年4月1日には、所属していた平郡が安房郡に編入されたため、保田町も安房郡の所属となりました。交通網の整備も進み、1917年（大正6年）8月1日には、木更津線（現在の内房線）の浜金谷駅と安房勝山駅の間が延伸開業したのに伴い、町内に保田駅が開設されています。約半世紀にわたり自治体として歩んだ保田町は、1959年（昭和34年）3月30日に勝山町と合併し、自治体としての保田町は廃止されました。

交通

町域における主要な交通手段として、鉄道では国鉄（現在のJR東日本）の房総西線（現在の内房線）が通り、保田駅が設置されていました。現在の保田駅は、特急「さざなみ」の定期列車が全て停車する主要駅の一つとなっています。また、道路網としては、現在も地域を南北に結ぶ重要な幹線道路である国道127号が通じていました。

電気事業

保田町には、近代的なインフラの一つである電灯を供給する事業が存在していました。1911年（明治44年）6月、実業家である才賀藤吉によって房総電気が設立され、翌7月には事業許可を得ています。この房総電気は、保田町大帷子字天王川の地に、瓦斯力（ガス力）を動力とする保田発電所を建設しました。発電所の完成後、1914年（大正3年）3月には送電が開始され、その供給区域は保田町だけでなく、勝山町、岩井村、さらには君津郡金谷村といった周辺地域にも及んでいました。これにより、地域の住民生活や産業に光がもたらされました。

このように、保田町は町村合併によって誕生し、鉄道駅の開設や電気事業の導入など、時代の変化と共に発展を遂げましたが、最終的には周辺自治体との合併により、その自治体としての歴史を終えました。しかし、地域名や公共施設の名称として、その名は今なおこの地に息づいています。

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