保科正経

保科正経

保科正経（ほしな まさつね）は、江戸時代前期に活躍した大名であり、陸奥国会津藩の第2代藩主として知られています。彼は会津松平家の重要な人物であり、官位は従四位下・筑前守、侍従でした。

生涯

保科正経は、保科正之の四男として生まれました。3人の兄が早世したため、嫡子となりました。万治2年（1659年）に従四位下・侍従・筑前守に叙任され、寛文9年（1669年）に父・正之の隠居に伴い家督を相続しました。正之の死後、その霊を弔うために土津神社を建立し（延宝3年（1675年））、領民を疫病から守るため薬草園（後の御薬園）を設けるなど、領内の衛生行政にも尽力しました。

しかし、母である聖光院の影響で、母方の従兄弟である藤木弘基やその妹婿の保科正興を側近や家老に抜擢したことが、後の混乱を招きました（両者は後に罷免されています）。

正経は病弱であり、実子も長女が1人しかいませんでした。そのため、延宝8年（1680年）に末弟の松平正容を養子に迎え、後継者としました。天和元年（1681年）に36歳で死去し、家督は正容が継承しました。

系譜

父: 保科正之
母: 於万、聖光院（藤木弘之の娘）
正室: 久萬、仙渓院（前田利常の九女）
側室: 佐藤氏、於せん(恵照院)
実子:
長女: 諏訪姫(1676年-1677年) - 夭逝、母は於せん
養子:
松平正容

人物・逸話

保科正経は、父・正之の遺志を継ぎ、会津藩の発展に尽力しました。特に、領民の健康を気遣い、薬草園を設けたことは、彼の慈愛に満ちた人柄を示すエピソードとして知られています。しかし、病弱であったことや、後継者問題など、藩主としての苦悩も抱えていたことが伺えます。また、母の影響で親族を重用したことが、藩政に混乱を招いた側面もありました。

正経は若くして亡くなりましたが、会津藩の基礎を固め、後の藩政に大きな影響を与えた人物として、歴史に名を残しています。

参考文献

宮崎十三八 編『保科正之のすべて』新人物往来社、1992年。
野口信一『会津藩』現代書館〈シリーズ藩物語〉、2005年6月。

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