信元久隆

信元久隆の経歴と業績

信元久隆（のぶもとひさたか）、1949年5月9日生まれは、日本の凄腕実業家であり、曙ブレーキ工業の元会長兼社長として広く知られています。そのキャリアは多岐にわたり、日本自動車部品工業会の会長や在日フランス商工会議所の副会頭などの重要な役職を歴任しました。さらに、彼はレジオン・ドヌール勲章オフィシエや藍綬褒章を受賞し、業界内での貢献が高く評価されています。

早年期と教育

兵庫県で生まれた信元は、東京学芸大学附属高等学校を卒業後、一橋大学商学部に進みました。大学では経営史を専攻し、米川伸一ゼミで学んだ経験が彼の後のキャリアに大きな影響を与えました。1973年にフランスに渡り、曙ブレーキ工業の子会社であるベンディックス・フランスに就職。約5年間のフランスでの経験を経て、1977年に日本に帰国し、再び曙ブレーキ工業に入社しました。

曙ブレーキ工業でのキャリア

信元は、曙ブレーキ工業内で取締役国際業務部長、常務取締役、専務取締役を経て、1990年に代表取締役社長に就任します。その後、1994年より会長も兼任します。代表取締役社長として、バブル経済の崩壊後の厳しい経済状況に直面し、エレクトロニクス分野からの撤退など経営戦略の大幅な見直しを行いました。特に、父である先代社長が志していた「総合ブレーキメーカー」という目標から、自動車の安全性を高めるためのブレーキ用摩擦材事業に特化することで、会社を「ブレーキ専業メーカー」としてリブランドしました。

この方向性により、信元は摩擦材事業の強化に努め、世界市場でのシェア拡大を目指しました。彼のリーダーシップの下で、2018年時点では世界シェアを約30%にまで拡大することに成功しました。

国際的な活躍

信元はフランスとの関わりが深く、2000年にはフランス国家功労勲章のオフィシエに任命され、在日フランス商工会議所では副会頭としても活動しています。2007年にはF1マクラーレンのマシンへのブレーキ供給に参入、さらにポルシェ・パナメーラへのブレーキ供給を実現し、彼の企業が国際的に認知されるきっかけとなりました。2008年には藍綬褒章を受章し、その功績はますます評価されました。

経営の変革と退任

2009年にはボッシュの北米ブレーキ事業を買収し、欧州でのシェアを拡大する一方、2019年には曙ブレーキ工業が事業再生ADRを申請しました。この困難な状況に際し、信元は経営責任を取る形で9月30日付で会社を退任し、新たに株式会社NOBUの代表取締役社長に就任しました。

私生活

私生活においては、1995年に女優の麻実れいと結婚し、また前妻との間に二人の子供がいます。信元は英語とフランス語に堪能であり、父の影響を受けて歌舞伎や文楽にも秀で、三味線も嗜むなど、多才な一面を持っています。

著書

信元は著作も残しており、2015年には『国際法の実践（小松一郎大使追悼）』を共著で出版しました。

信元久隆氏の人生と業績は、実業家としての先見性や国際的な視野をもっており、今後の日本の産業界においても注目され続ける存在です。

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