国家功労勲章

国家功労勲章 (Ordre national du Mérite) について

国家功労勲章は、フランス共和国の功績勲章であり、大統領が授与します。1963年12月3日にシャルル・ド・ゴール大統領によって制定されました。

歴史

国家功労勲章が制定された背景には、以下の2つの理由があります。

1. 勲章制度の整理統合: 従来、各省庁が独自に多数の勲章を授与しており、制度が複雑化していました。国家功労勲章は、これらの勲章を廃止し、一本化する目的がありました。
2. レジオンドヌール[[勲章]]の補完: レジオンドヌール[[勲章]]はフランスで最も高位の勲章ですが、受章資格が厳しく、対象者が限られていました。国家功労勲章は、より幅広い国民を対象とした栄典として設けられました。

過去50年間で、185,000人が受章し、306,000人が昇級しています。

廃止された勲章

国家功労勲章の制定に伴い、以下の省庁級および植民地勲章が廃止されました。

ただし、芸術文化勲章、教育功労章、農事功労章、海事功労章の4種類の省庁級勲章は現在も存続しています。

植民地勲章

アンジュアンの星勲章 (1874年制定)
光勲章 (1887年制定)
黒星勲章 (1889年制定)

省庁級勲章

社会功労章 (1936年制定)
公衆衛生勲章 (1938年制定)
商工功労章 (1939年制定)
工芸功労章 (1948年制定)
観光功労章 (1949年制定)
退役軍人功労章 (1953年制定)
郵政功労章 (1953年制定)
国家経済勲章 (1954年制定)
体育功労章 (1956年制定)
労働功労章 (1957年制定)
軍事功労章 (1957年制定)
文民功労章 (1957年制定)
サハラ功労章 (1958年制定)

制度

国家功労勲章は、レジオンドヌール[[勲章]]の授与基準を満たさないものの、優れた軍事的または文民的な功績を挙げたフランス国民および外国人に授与されます。

フランス大統領が国家功労騎士団の総長であり、共和国政府の諮問会議に基づき、すべての受章者を決定します。国家功労騎士団は、レジオンドヌール騎士団と共通の総裁と事務局を持っています。

首相は、就任から6ヶ月後にグランクロワ（大綬章）を授与されます。ジャック・シラク元大統領は、首相時代に最初にグランクロワを授与された人物です。

受章者の半数は女性であることが義務付けられています。

等級

国家功労勲章は、以下の5等級に分かれています。

1. シュヴァリエ (騎士): 最低35歳以上で、10年以上の公務経験があること（実際には15年以上が一般的）。「優れた功績」があることが条件です。現役将校の場合は、15年間の勤務経験で条件を満たします。
2. オフィシエ (将校): シュヴァリエ受章後、最低5年以上の経過が必要です。現役将校の場合は、シュヴァリエ受章から7年経過が条件です。
3. コマンドゥール (司令官): オフィシエ受章後、最低5年以上の経過が必要です。現役将校の場合は、シュヴァリエ受章から5年経過で条件を満たします。
4. グラントフィシエ (大将校): コマンドゥール受章後、最低3年以上の経過が必要です。
5. グランクロワ (大十字): グラントフィシエ受章後、最低3年以上の経過が必要です。

勲章の意匠

各等級の勲章は、佩用方法が異なります。

シュヴァリエ: 正章を左胸に佩用。
オフィシエ: ロゼット付きの正章を左胸に佩用。
コマンドゥール: 正章を喉下に佩用。
グラントフィシエ: 正章（星章）を右肋部に、副章（オフィシエ正章）を左胸に佩用。
グランクロワ: 正章（大綬章）を右肩から左脇へ垂らし、副章（星章）を左肋部に佩用。

勲章のデザインは、彫刻家のマックス・レオニャニーによって手がけられました。

勲章の章は、金メッキ（シュヴァリエは銀）と青色のエナメルで装飾された、2重の放射を持つマルタ十字型の六芒星です。放射の間には月桂樹の葉が配置されています。表面中央の円板には、マリアンヌの横顔と「フランス共和国」の銘が刻まれています。裏面中央の円板には、交差したフランス国旗と勲章名、制定年月日が刻まれています。

星章は、グランクロワが金メッキされたものを、グラントフィシエが銀色のものを佩用します。意匠は、放射の間に光線（かつては無地、現在は青色エナメル）が配置された12稜の日輪型です。

勲章の綬は濃い青色で、聖霊勲章の名残とされています。略綬は、オフィシエ以上の等級には中央にロゼットが付き、コマンドゥール、グラントフィシエ、グランクロワのロゼットには、それぞれ銀、金と銀、金の土台（翼）が備わっています。

脚注

関連項目

レジオンドヌール[[勲章]]
芸術文化勲章
教育功労章
農事功労章
海事功労章

外部リンク

国家功労勲章 - 在日フランス大使館
France Phaléristique (フランス語)

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