信号扱所

信号扱所（信号扱い所）とは

鉄道において、信号や分岐器を操作し、列車の安全な運行を確保するために設けられた施設です。駅や信号場などに設置され、鉄道の運行を根幹から支える役割を果たしています。

歴史

鉄道の黎明期には、信号の操作はすべて手作業で行われていました。信号係がそれぞれの機器の場所まで移動し、レバーやハンドルを操作する必要があったのです。しかし、技術の進歩とともに、これらの操作を一箇所に集約する「信号扱所」が登場しました。これにより、効率的かつ安全な列車運行が可能になったのです。

制御装置

機械てこ

初期の信号扱所では、機械てこが主流でした。操作用の床の下の梁に設置されたてこは、ワイヤーや棒で信号機や分岐器と接続され、物理的な力で操作していました。また、連動装置を備えており、分岐器の操作と信号表示の整合性を確保していました。てこは色分けされ、番号が振られており、操作ミスを防ぐ工夫が凝らされていました。

電気てこ

機械式の連動装置に加え、電気的に信号機や分岐器を操作する小さなてこも登場しました。空気圧で動作させる方式も存在しました。

コントロールパネル

さらに時代が進むと、線路配線図上に配置されたボタンやスイッチで信号や分岐器を操作するコントロールパネルが登場しました。電気的または電子的な連動装置と接続され、より複雑な制御が可能になりました。

コントロールパネルには、いくつかの種類があります。

Individual Function Switch (IFS)：信号と分岐器ごとに個別のボタンまたはスイッチが設けられています。信号手は、レバーフレームと同様の方法で操作する必要があります。このタイプのパネルは、回路が比較的単純ですが、大規模なエリアの制御には適していません。
One Control Switch (OCS)：信号経路ごとに個別のスイッチまたはボタンが設けられています。信号からの経路（つまり、信号で指示された目的地）の数だけ、信号ごとにスイッチ/ボタンがあります。目的の経路を設定するには、関連するスイッチまたはボタンを操作します。経路内のすべてのポイントは、必要な位置に自動的に設定されます。個別のポイントスイッチが用意されていますが、通常は中央の位置にあり、経路の設定によってポイントを自動的に設定できます。
* Entrance-Exit (NX)：このタイプのパネルには、信号経路ごとに1つのスイッチ/ボタンが用意されています（ただし、一部のパネルには個別の「入口」および「出口」デバイスがあります）。経路を設定するには、信号手は「入口」信号のデバイスを操作し、次に「出口」（宛先）信号のデバイスを操作します。経路内のすべてのポイントは、必要な位置に自動的に設定されます。個別のポイントスイッチが用意されていますが、通常は中央の位置にあり、経路の設定によってポイントを自動的に設定できます。

これらの原理に基づく装置は、世界中で使用されています。

表示装置

現代の信号扱所では、ディスプレイを用いた装置が主流となっています。従来のパネルに比べて低コストで、変更も容易であるため、広く普及しています。イギリスでは、大規模な信号扱所は統合電子制御センター（Integrated Electronic Control Centre）に統合されています。

現在

現在でも、昔ながらの信号扱所を見ることができます。ポイントや信号の機械的な制御も残っていますが、多くの場合、電気的なコントロールパネルが導入されています。しかし、信号扱所は運転指令所に取って代わられつつあります。運転指令所は、電気または電子装置を使用して、交通網全体を集中管理しています。列車集中制御装置（CTC）もその一つです。

路面電車の場合

路面電車では、分岐器や信号の操作は「操車」と呼ばれ、信号扱所に相当する場所は「操車所（室）」と呼ばれていました。交差点の見通しを良くするために高い位置に設けられたものは「操車塔」と呼ばれました。しかし、自動化が進み、操車塔は撤去される傾向にあります。函館市には「十字街旧路面電車操車塔」が保存されています。

まとめ

信号扱所は、鉄道の安全運行を支える重要な施設です。その歴史は古く、技術の進歩とともに様々な制御装置が開発されてきました。現代では運転指令所にその役割が移行しつつありますが、信号扱所は鉄道の安全を支える上で欠かすことのできない存在です。

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