信江

信江（しんこう）：江西省を潤す大河

信江は、中華人民共和国江西省北東部を流れ、長江水系の鄱陽湖へと注ぐ重要な河川です。中国語では「信江（簡体字: 信江、拼音: Xìn jiāng）」と表記されます。

水源と流れ

信江は、玉山県の懐玉山南に源を発する玉山水と、福建省浦城県の武夷山麓に源を発する豊溪という二つの川を水源としています。これらの川は上饒市の中心部で合流し、ここから「信江」という名で呼ばれるようになります。

本流は東から西へと流れ、信州区、広信区、鉛山県、弋陽県、貴渓市、月湖区、余江区、余干県といった地域を通過します。そして、余干県の県境で二つの分流に分かれ、最終的に鄱陽湖へと注ぎ込みます。流れの途中では、石渓水、鉛山水、陳坊水、葛渓水、羅塘河、白塔河といった主要な支流が合流し、水量を豊かにしています。

流域の概要

信江の全流域面積は17,600平方キロメートルに及び、約420万人の人々が生活しています。流域には広大な耕地が広がっており、その面積は約391万畝。中でも水田が349万畝を占め、稲作が盛んな地域であることがうかがえます。

信江は、上饒市までを上流、上饒市から鷹潭市までを中流、それ以降を下流と区分されます。上流の沿岸一帯は低い山地が主体で、地形の起伏が比較的大きいのが特徴です。中流は信江盆地となっており、盆地の周縁部は北・東・南の三方が山地で囲まれ、盆地内は西に向かって徐々に低くなっています。下流は鄱陽湖の沖積平野であり、平坦で開けた地形が広がっています。流域全体の土地利用を見ると、山地が40%、丘陵が35%、平原が25%を占めています。

気候と降水

信江流域は亜熱帯の温暖湿潤気候に属し、年間を通して比較的温暖で湿度が高いのが特徴です。一般的に4月から雨量が増加し、梅雨の時期である5月・6月には特に雨が激しくなります。上流の懐玉山一帯では、年間の降雨量が2,000ミリメートルを超えることもあります。7月から9月は高気圧の影響を受けやすく、夕立や台風を除いては雨量は少なくなります。

流域の年平均気温は約18℃、年平均降水量は約1,845ミリメートルです。降雨の分布には地域差があり、東部ほど多く、西部ほど少なくなる傾向があります。また、山地は平野部よりも降水量が多くなります。年間降水量の半分近くが4月から6月に集中し、7月から9月は年間降水量の18%程度にとどまるなど、雨量が特定の季節に集中する傾向が見られます。

ダムと灌漑

信江の上流の支流である金沙渓には、玉山七一ダム（別名：三清湖）が建設されています。このダムの貯水容量は1.87億立方メートルに達し、14万畝もの耕地を灌漑しています。また、発電容量は7,000キロワットであり、1950年代に建設された信江流域最大のダム湖として重要な役割を果たしています。

流域の用水路の中で最も規模が大きいのは、余江区にある白塔渠です。この用水路の引水流量は毎秒19立方メートルに達し、19万畝もの水田を潤しています。

信江は、流域の人々の生活や農業を支える重要な河川であり、その豊かな水は地域社会の発展に大きく貢献しています。

信江_百度百科

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