信長の野望・全国版

信長の野望・全国版

『信長の野望・全国版』は、1986年に光栄（現コーエーテクモゲームス）から発売された歴史シミュレーションゲームです。この作品は、戦国時代の日本を舞台に、プレイヤーが戦国大名となり、内政や軍事を駆使して全国統一を目指すという、シリーズの基礎を築いた重要なタイトルです。

ゲーム概要

本作の目的は、戦国大名として他の大名と戦い、国を奪いながら全国統一を果たすことです。プレイヤーは、自分の領地を発展させ、軍備を整え、外交を行いながら、天下統一を目指します。後のシリーズ作品と比較して、本作では武将は大名のみが登場し、その能力はゲーム開始時に決定され、育成していくシステムが特徴的です。

また、歴史イベントとして「本能寺の変」が導入されたことも特筆すべき点です。このイベントは、以降のシリーズ作品にも受け継がれ、ゲームに深みを与えています。各大名の顔グラフィックが初めて導入され、イベントごとにアニメーションや静止画が表示されるなど、演出面も強化されました。特にX68000版では、音声が使用され、年貢率の変更や一揆発生時など、状況に応じた音声演出が楽しめました。

ゲーム内容

舞台と大名

ゲームは、日本全国をほぼ網羅する50ヶ国を舞台としたモードと、前作同様の17ヶ国を舞台としたモードがあります。50ヶ国モードでは、北の蝦夷から南の薩摩大隅までが舞台となり、より広範囲な戦略を立てる必要があります。また、前作ではプレイヤーが選択できる大名が限られていましたが、本作では50ヶ国モードで50人、17ヶ国モードで17人の大名から選択できるようになり、自由度が大幅に向上しました。ただし、コンシューマー移植版を除き、ゲーム開始時に複数の国を領有している大名はいません。

大名のパラメータ

大名のパラメータは、年齢、健康、野心、運、魅力、IQ（一部移植版では知能）があり、これらのパラメータはゲームプレイに影響を与えます。プレイヤー大名のパラメータは、ゲーム開始時にスロットで決定されます。健康は病気のリスクや寿命に、野心は同盟や婚姻の成功率に、運は災害や敵国の侵攻率に、魅力は一揆や謀反の発生率に影響します。IQ（知能）は、忍者コマンドの成功率や訓練に関わります。

内政

内政コマンドは、「開墾」「治水」「町づくり」「施し」の4つが基本です。「開墾」は石高を増やしますが治水と民財を低下させ、「治水」は治水度を上げ、台風被害を軽減します。「町づくり」は町の価値を上げ収入を増やしますが民財を低下させ、「施し」は民忠と民財を向上させます。また、商人からの借金や米の売買、武器の購入も可能です。領地を委任することもできますが、軍事国にすると一揆が、生産国にすると謀反が起きやすくなります。

合戦

合戦は、最大5部隊同士で戦い、大将のいる第1部隊を全滅させるか退却させると勝利となります。また、兵糧が尽きても敗北となります。大名自身が出陣すると各部隊の戦闘力が2倍になります。部隊は、足軽隊、騎馬隊、鉄砲隊に分かれており、鉄砲、騎馬、足軽の順に強いです。また、兵忠、民忠、民財が低いと謀反や一揆が起こることがあります。

大名死亡時の処理

大名が死亡した場合、後継者の概念がないため、プレイヤー大名が死亡すると基本的にゲームオーバーになります。ただし、本能寺の変イベントで信長が死亡した場合は、秀吉に引き継いでゲームを続行できます。大名同士の戦争で大名が死亡した場合、敗北した大名の領土はすべて勝利した大名のものになります。謀反や一揆で大名が死亡した場合は、本国に新たな大名が発生し、他の領土は空白地になります。

本能寺の変

織田信長でプレイし、一定条件を満たすと発生する本能寺の変は、シリーズで初めて導入された歴史イベントです。このイベントでは、明智光秀の謀反により、織田信長が窮地に陥ります。信長が敗北した場合、ゲームオーバーではなく羽柴秀吉に引き継がれます。

移植版

本作は、PC-88をはじめ、様々な機種に移植され、それぞれ仕様が異なります。スーパーファミコン版以降はシナリオが追加され、方言モードが復活するなど、一部設定が変更されています。また、一部の大名の当主が変更されていることもあります。

評価

各移植版は、ゲーム誌のクロスレビューや読者投票で評価されています。ファミリーコンピュータ版、スーパーファミコン版、メガドライブ版、PCエンジン版など、機種によって評価が異なりますが、多くのプレイヤーに楽しまれました。

『信長の野望・全国版』は、その後のシリーズ作品の基礎となり、歴史シミュレーションゲームの金字塔として、今なお多くのファンに愛されています。

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