X68000

X68000 (エックス ろくまんはっせん)

概要

X68000は、1987年3月28日にシャープが販売したパーソナルコンピュータであり、同社の「パソコンテレビX1」シリーズの後継機にあたります。このモデルは、最大65,536色の表示が可能な高いグラフィック性能と、シンセサイザーに匹敵する音楽性能が評価され、ホビーパソコン市場で重要な役割を果たしました。略称は「X68k」や「ロクハチ」などが用いられ、販売台数は1991年9月時点で約13万台となっています。また、標準搭載されていたオペレーティングシステム（OS）であるHuman68kおよびSX-Windowは、その後フリーで公開され、ユーザーコミュニティによる活動が活発だったことも特筆すべき点です。

開発と歴史

初代X68000は1986年に披露されました。開発はシャープのテレビ事業部が主導し、発売前年のエレクトロニクスショーで初めて公開されました。デモとして展示された内容は、インタラクティブなビジュアルや音声機能を持つもので、多くの来場者の注目を集めました。以降、各種パソコン雑誌で取り上げられることで認知度が高まり、1987年に正式に発売されました。

そのデザインは「マンハッタンシェイプ」と呼ばれ、特徴的なツインタワー型の筐体を採用。これにより、視覚的にもインパクトがあり、使い勝手も十分に考慮された設計となっています。特に、オートイジェクト機能を持つフロッピーディスクドライブや拡張I/Oスロットは、ユーザーにとって大きな利便性を提供しました。

技術仕様

CPUとメモリ

X68000にはモトローラのMC68000プロセッサが搭載され、初代モデルでは動作周波数が10MHzでした。メモリは最大16MBまで搭載可能で、主記憶空間としてさらに拡張が可能でした。これにより、ユーザーはプログラムを快適に動作させ、ホビー向けのクリエイティブな作業に取り組むことができました。

グラフィック性能

グラフィック面では、512KBのVRAMを備えており、256×256や512×512の解像度で最大65,536色を同時に表示することができました。ゲームやアート制作において、その高い処理能力は特に重宝され、多くの作品が生まれました。さらに、スプライト機能やハードウェアスクロールも搭載されており、動きのあるグラフィック表現が可能だったため、多くのゲームタイトルがこの機械で開発されました。

音声機能

サウンドに関しては、FM音源（YM2151）を搭載し、最大8声の同時発声が可能でした。また、ADPCMサウンドもサポートしており、ゲームの効果音や音楽など多彩な用途に利用されました。特に音楽ドライバーやMIDIボードとの組み合わせにより、ユーザーが自ら音楽を制作する環境が整備されていました。

アフターサポートとコミュニティ

X68000シリーズは、その後もX68030やX68060などの後継機種が販売され、いずれの機種も独自の特色を持った製品でした。特にソフトウェア環境の整備が進み、開発者たちによる多くのフリーソフトウェアやゲームが制作される場も提供されました。X68000は独自の文化を形成し、今でもレトロコンピュータとして高い評価を受けています。

諸事情により1990年代後半には次第に姿を消しましたが、近年では復刻版やエミュレーション技術の進展により再評価されています。1993年にマルチユーザー向けのUNIX環境「OS-9」が発売され、X68000はビジネス用途や教育用途にも活用されました。

現在の状況

エミュレーションやレトロハードウェアとしてファンの間で根強い人気を誇り、いくつかのオフィシャルな復刻プロジェクトも進行中です。現代のコンピュータやデジタル文化において、X68000はその独自性が際立ち、多くの愛好者に支えられています。

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