俣野別邸庭園

俣野別邸庭園（またのべっていていえん）

神奈川県横浜市戸塚区東俣野町に位置する俣野別邸庭園は、かつて個人の邸宅として使われていた建物とその広大な敷地を活用した風致公園です。横浜市認定歴史的建造物に指定されている「旧俣野別邸」を中心に、約5.9ヘクタールにわたる多様な景観を持つ庭園が広がっており、歴史と自然を同時に楽しめる場として多くの人々に親しまれています。

旧俣野別邸の歴史

公園の中心をなす旧俣野別邸は、昭和時代初期にあたる1939年（昭和14年）に建設されました。当時の住友家第16代当主であった住友友成氏の別邸として建てられたものです。設計は建築家の佐藤秀三氏が担当し、当時のモダニズム建築の影響を受けながら、木骨を見せるハーフティンバー様式と日本の伝統的な建築要素を融合させた、 unique な和洋折衷のデザインが特徴です。

この邸宅は、後に国の所有となり、その歴史的価値が評価されて2004年（平成16年）7月には国の重要文化財に指定されました。しかし、保存・修復工事が進められている最中の2009年（平成21年）3月15日、不審火により惜しくも焼失してしまいました。これに伴い、2011年（平成23年）には重要文化財の指定が解除されることとなりました。

その後、横浜市はかつての姿を復元するため再建工事を行い、2016年（平成28年）にオリジナルの意匠を尊重した形で建物がよみがえりました。再建された邸宅は、その歴史的・文化的価値が再び認められ、2017年（平成29年）2月10日には横浜市認定歴史的建造物として指定されました。

広大な庭園の景観

邸宅が再建された後の2017年（平成29年）4月、敷地全体が「俣野別邸庭園」として都市公園となり一般公開されました。敷地は約58,996平方メートルという広さを持ち、国道1号（旧東海道）が通る高台の西側縁から、境川沿いの低地へと下る河岸段丘の斜面に広がっています。

高台に位置する邸宅からは、特に西側に開けた眺望が素晴らしく、富士山や丹沢山地の山々を遠望することができます。その眼下に広がる広大な斜面を利用した庭園は、二つの異なるエリアで構成されています。

邸宅に近いエリアは「内苑」と呼ばれ、芝生広場や季節の草花が植えられた整形式に近い庭園空間となっています。一方、斜面の下部や敷地の南側には、人の手が加えられすぎない自然のままに近い「外苑」が広がっており、こちらは豊かな雑木林が中心で、多様な植物や生き物たちの生息地となっています。庭園の南端は神奈川県藤沢市との市境に接しています。

利用案内

俣野別邸庭園は、都市公園として整備されており、散策や自然観察、歴史的建造物の見学など、様々な形で楽しむことができます。四季折々の自然の移ろいを感じながら、ゆったりとした時間を過ごすのに適した場所です。

所在地: 〒245-0065 神奈川県横浜市戸塚区東俣野町80-1
電話: 045-852-8038
開園・開館時間:
9時30分 ～ 16時30分（7月・8月は18時00分まで）
休館日:
毎月第3木曜日（休日の場合は翌日）
年末年始（12月29日 ～ 1月3日）
入館料: 400円（別邸入館料）

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